AI Overviewsが幅広く適用されたことによるアクセス減少は本当?
昨今、Googleの検索結果に表示されるようになった「AI Overviews」(AIによる要約)をごぞんじでしょうか?このAI overviewsはWebサイトへのアクセス数にどの程度の影響を与えているのでしょうか。
日経新聞でも「サイト訪問が3割減」と報じられましたが、SEOの専門家の間では意見が分かれています(参考:Google経由のサイト訪問、日本でも3割減 AI要約の浸透で - 日本経済新聞)。AI Overviewsの現状の表示割合と、それによってアクセス数が減少した場合に企業が取るべき対策について考察します。
AI Overviewsの表示状況と影響
AI Overviewsは、GoogleのAIが検索内容を要約し、検索結果のトップに表示する機能です。現在、全検索の約50%でAI Overviewsが表示されており、2回に1回はAIによる要約が確認できる状況です。
特に表示割合が高いのは、「ノウ・クエリ(Know Query)」と呼ばれる「〜〜とは?」「〜〜の意味」といった情報収集を目的とした検索です。一方で、ショッピング目的の「バイ・クエリ(Buy Query)」は約28.7%と、比較的低くなっています。
参考:AI Overviewsの表示率と引用率の推移|リテラ(BringRitera)
アクセス減少の可能性
ある調査結果では、AI Overviewsが表示されると、ページへのアクセス数が平均で34.5%減少するというデータが示されています。これは、ユーザーが検索結果の要約を読んで満足し、サイトをクリックせずに離脱する「ゼロクリック検索」が、AI Overviewsによって多くなっていると考えられます。
参考:AI Overviews が表示されることで、ページへのアクセス数が34.5% 減少!
この結果から、AI OverviewsがWebサイトへのアクセス数減少に影響を与えている可能性は高いと言えます。
アクセス減少の原因はAI Overviewsだけではない
株式会社キヨスルのクライアント企業の事例でも、特に2025年の夏終わり頃から自然検索からのアクセス数が減少するケースが見られます。場合によってはアクセス数が40%程度まで落ち込んでいる例も見られました。しかし、アクセス減少の全てがAI Overviewsの影響であると断定するのは難しい状況です。
- コアアップデートの影響:アクセスが大きく落ち込んだ時期は、Googleの「コアアップデート」が実施されたタイミングと重なっています(参照:June 2025 Core Update【2025年6月のコアアップデート】の展開をGoogleが開始)。
- クエリの意図:ECサイトのようなショッピング系のサイトでアクセスが大幅に減少している事例もあります。ECサイトのアクセス減少は、AI Overviewsの表示割合が低い「バイ・クエリ」の割合が多いはずです。にも関わらずアクセスが大きく減少するのは、論理的に説明が難しいでしょう。
したがって、現在のアクセス減少は、コアアップデートによる順位変動が主な原因であり、AI Overviewsの登場がそれに追い打ちをかけている、と複合的に捉えるのが自然な見方です。
マーケターが取るべき普遍的な対策
AI Overviewsによってアクセス数が奪われたとしても、企業が取るべき対策は以前から変わりません。それは「ユーザーに役立つ情報を提供し続けること」です。
- SEO対策の継続:ユーザーに役立つ情報を提供することがもっと重要です。Googleから高く評価され、検索順位の上位を維持できます。上位表示されれば、AI Overviewsの引用元として選ばれる可能性が高まり、結果的にそこからサイトへの流入を促すことができます。
- 他のチャネルの活用:ECやコスメなどの商材を取り扱うなら、SNSからの流入を増やすといった、検索以外の手段を強化することも有効でしょう。
AI Overviewsが増えていることは、そこまで考えすぎなくても良いでしょう。今後もAIと戦うのではなく、AIをうまく活用し、より良い状況へと昇華させていく(アウフヘーベン)姿勢が重要であると言えます。
投稿者プロフィール

- 代表取締役
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兵庫県伊丹市出身
2006年、立命館大学経営学部卒業後、パソコンソフトの卸売会社、総合商社子会社に就職し、2008年に独立。
2011年頃からSEO対策・アフィリエイト用の文章制作から、独学でリスティング広告やアクセス解析、SNS広告などを学び、サービスを展開。
短期大学の情報処理講師や職業訓練校のWebサイト制作クラス・ECマーケティングクラスなどで講師を担当。
現在は株式会社キヨスル代表取締役として、Webマーケティングをデザインすることでクライアントのビジネスに貢献する。

