「なぜ売れるのか?」因果関係を深追いしてはいけない

Webマーケティングのサービスを展開している企業は多くありますが、他社のセミナーを聞いていると「因果関係を追求しよう」としている提案をよく耳にします。しかしこの考え方はWebマーケティングには適していないと考えています。

因果関係は分からない事がほとんど

因果関係と言うと、どこをどうしたらこの結果になったのか、原因と結果がはっきりしているものを言います。しかしこれはビジネスにおいてはあまり必要のないものではないでしょうか。例えば商品をよく購入してくれているユーザーの、性別・住所・年齢・職業などの属性を追う事は可能です。しかしその属性を持つすべてのユーザーがその商品を買うかと言えば答えはNOです。あくまで、たまたま商品を購入したユーザーにその属性を持っていた人が多かったというだけです

そしてこれはECサイトでも同じですし、BtoBでも同じです。弊社でも様々な企業からご相談を頂きますが、会社の規模から住所や業種などはバラバラです。「ある属性を持つユーザーだけが弊社を使ってくれる」という因果関係は存在していません。

実はこの「ある属性を持つユーザーが商品を買う傾向にある」という考え方は統計的な手法です。統計的手法とは、統計の手法を用いた分析手段のことです。例えば「○○属性の人が購入している事例が複数あるから、この人達なら買う確率が高いだろう」といったものです。あくまで、「購入している人が多い」という傾向を見るのがポイントです。

更にこれはマーケティングに限った話ではなく、人間社会においても同じです。新型コロナでよく使われたカロナールなどに配合されている鎮痛・解熱効果があるアセトアミノフェンですが、実はどのようにして人体に効果があるのか、詳細は分かっていません。「おそらくこういう感じで効いている」というところまでは分かっていますが具体的な解熱の詳細は分かっていない状態だそうです。また、少し前までは飛行機がなぜ飛ぶのかも分かっていませんでした。

このように人間社会では、「よく分からないけど統計的なデータがあるので、それに沿って使っている」というものがたくさんあります。アセトアミノフェンも人間社会が長年使用し、少しずつ傾向が分かってきたので鎮痛・解熱剤として使っているのです。

成功の事実を素直に受け止めよう

マーケティングも同じです。こうしたら必ず儲かるという因果関係はありませんし、探す必要もありません。それを探すのは研究者に任せましょう。我々ビジネスマンは、

  • こういう人によく売れる
  • こういう風にしたらよく売れる
  • こういうキャッチコピーをつけたら売れる

を探し出し、売上を上げていく事が大事です。

世界的な企業が行うWebマーケティングの考え方には「原因や結果についてあまり考えない」というものがあります。例えば広告を3パターン作ったところ、広告Aが一番反応が良かったならこの広告Aに似た広告をまた作って出すのがウェブマーケティングです。「広告Aの何が良かったのか」を具体的に探る事はしません。

ですが日本では「なぜなのか」を深掘りして考えがちです。しかし仮に深掘りしてなぜが解けたとしても、次が必ず上手くいく訳ではありません。それができれば世界中が億万長者になります。

ビジネスで大事なことは売上が上がる事です。ある施策で売上が上がった際には、あまり因果関係を深く追わずに成功を素直に受け止めましょう。