こだわりや独自の勘はゴールへの足かせになる

新規顧客を増やしたい、コンバージョン率をよくしたい。そういったウェブマーケティングでのプロジェクトにも「ゴール」は欠かせません。どんなにいいカーナビも、目的地を設定しないと使いものにならないのと同じように、お金をかけるからこそ、ゴールはしっかり決めないといけません。

方向性を決めないと具体的な施策はできない

プロジェクトのゴールと聞くと、「数字が○○に達したらゴール」という具体的な数字を設けるものを想像する人が多いと思います。もちろんそれも大事ですが、「○○で行こう」という方向性を決めるのがとても重要です。

例えばECサイトで「顧客単価」を上げたい場合と「顧客数」を上げたい場合、やる事はかなり変わってきます。顧客単価を上げる場合は、合わせ買いをしてもらうにはどうするのか、たくさん購入してくれている人にもっと購入してもらうにはどうするのかを考える必要があります。逆に顧客数を上げる場合は、どれだけ新規顧客を獲得できるか、リピーターを増やせるかを考える必要があります。

この方向性が設定されて初めて「ウェブ広告をしよう」「SEO対策をしよう」といった具体的な手段と目標を決める事ができます

また、ゴールを決めると運用している広告が成功しているのかどうかも分かります。当たり前ですが、ゴールに近づけば成功していると言えます。例えば、獲得コンバージョン数を100件にしたいと出した広告で、75件だったものが95件に上がれば、目標に近づいている事が分かります。

こだわりは足かせになりかねない

ウェブマーケティング支援に多い注文で「こういう広告文を入れてほしい」「このキーワードを入れてほしい」といった細かいものがよくあります。もちろんそういった要望があれば応えますが、「それはゴールに近づく為に本当に必要かどうかを一度考えてほしい」という事を思います。

もちろん近づける事もありますが、近づけない事がほとんどです。その理由はウェブマーケティングはすべて数字が出るからです。例えば、コンバージョン率は100や200といったものから、コンバージョン単価がいくらなのか、購入率はどれくらいなのか、クリック数はどれくらいなのか…すべて数字で出ます。

ですので「このキーワードを入れてほしい」という注文で切れたキーワードに、コンバージョンが何件発生したかもすべて分かります。そして数字で見るとそのキーワードには1つもコンバージョンがない場合もよくあります。この場合、効果がないものに無駄に広告費用を払う事になりますので、そのキーワードは削除したほうが良いでしょう。

このような事例では、数字ではっきりとゴールから遠ざかっている事がわかります。だから「こだわりを捨てて数字を見て考えてほしい」と私は思うのです。こだわりで入れたキーワードが入っている広告と入っていない広告を比較すると、入っていない広告の方が効果があることも多くあります。となると、こだわりは足かせにしかならないのです。

思い込みは数字をねじ曲げてしまう事がある

ウェブマーケティングにおいては、数字に沿って運用する事が必須です。私も基本はゼロベースで考えるようにしています。それは自分だけで考えるとどうしても思い込みがあるからです。トライ&エラーを繰り返して、数字に考えを合わせます。自分が納得できるかは関係なく、数字に合わせます。数字の方が正しいからです。

ただ、これはウェブマーケティングに限りません。人間はこのように何らかの思い込みにとらわれるようにできています。一時期に流行ったファクトフルネスという本にも書かれています。途上国の印象を聞くと「貧困層が多い」「男女で教育格差がある」と答えられがちですが、実はそうでもない事は数字に出ています。

このように人の思い込みは、数字とは真逆の事を結論付ける事があります。思い込みではなく数字を読み解く事がとても重要となります。

投稿者プロフィール

松本 孝行
松本 孝行代表取締役
兵庫県伊丹市出身

2006年、立命館大学経営学部卒業後、パソコンソフトの卸売会社、総合商社子会社に就職し、2008年に独立。

2011年頃からSEO対策・アフィリエイト用の文章制作から、独学でリスティング広告やアクセス解析、SNS広告などを学び、サービスを展開。

短期大学の情報処理講師や職業訓練校のWebサイト制作クラス・ECマーケティングクラスなどで講師を担当。

現在は株式会社キヨスル代表取締役として、Webマーケティングをデザインすることでクライアントのビジネスに貢献する。

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