デザイン的に正しいとビジネス的に正しいはイコールではない

ウェブデザイナーの職業訓練校で講師をしているのですが、バナー制作の際に作成したバナーについての意見を求められることがよくあります。その際にコントラストの強弱など、デザイン的な正しさに基づいての指摘は可能です。しかし、この「デザイン的に正しい」は「ビジネス的に正しい」とイコールではありません

デザイン的に正しいものが売り上げに貢献するとは限らない

「デザイン的に正しい」は「ビジネス的に正しい」とイコールではないというのは、どういうことでしょうか。分かりやすく言うと、デザイン的に正しいとされるバナーを作成し、広告で使用した場合、そのバナーはもっとも売り上げに貢献するバナーなのかでしょうか?ビジネスは単純ではありませんので、デザイン的に正しいバナーを作れば必ず売り上げに貢献するという事はありません。もしデザイン的に正しいバナーが必ず売り上げに貢献するのであれば、みんなが画一的にデザイン的に正しいものを作ればいいということになります。現実ではそんなに簡単にはいきません。

では「ビジネス的に正しいデザイン」を作るにはどうすれば良いのでしょうか?私自身も職業訓練校でデザインの質問を受けますが、ビジネスは「こうしたら必ず成功する」と言える程、単純ではありません。結局のところ、「何度も作成してテストを繰り返し、良い物を残していく」のが、「ビジネス的に正しいデザイン」を見つける唯一の方法と言えます。

UGCはなぜか分からないが売れている事例の宝庫

外資系企業ではUGC(User Generated Contents)を広告に使用する事が多々あります。UGCは簡単に言うと消費者が作ったコンテンツを指します。例えばInstagramなどに載せられている、商品を使用している写真や、商品の感想を伝える動画など、私達が普段よく目にする一般の方々の投稿、これがUGCにあたります。

このような一般投稿を広告に使わせてもらい、反応が良かった物だけを残していくという手法が取られる事があります。そしてこのUGCは「デザイン的に正しい」と「ビジネス的に正しい」はイコールではないという事実が顕著に表れます。Instagramなどを見れば一目瞭然ですが、論理的に正しいとされる構図や、高画質な写真が必ず良い反応をされている訳ではありません。YouTubeなどの動画でも、高画質であったり、カット割やBGMなどが完璧な物が必ず人気になる訳でもありません。「どうしてこの動画が売れているのか?」と疑問に思えるようなもコンテンツが一番売り上げに貢献するというのが、UGCではよくあります。

人によっては「なぜそのUGCが売り上げに貢献しているのかを深掘りすれば良いのでは?」と思うかもしれません。しかし外資系企業の多くは、そこを深掘りすることはほとんどありません。「何故かは分からないけど売れているから、これに似たやつを使っていこう」程度にしか捉えません。何がどういったきっかけで売れるのかに絶対の法則はありません。デザイン的正しさ、動画的正しさを探る必要がビジネス的にはないのです。

デザイン的に正しいものは、ビジネス的に正しいとは限りません。つまりデザインが優れているものを必ずしもお客さんが求めているわけではない…ということを、肝に銘じておくのが良いと思います。

綺麗な写真・バナー・ホームページを作っても、それが1円にもならないのであれば意味がありません。汚いと感じるデザインでも、売り上げに貢献しているのであれば、それが「ビジネス的に正しいデザイン」という事です。そういった納得できないかもしれない部分を呑み込める度量も、ウェブデザイナーには必須なのかもしれませんね。

投稿者プロフィール

松本 孝行
松本 孝行代表取締役
兵庫県伊丹市出身

2006年、立命館大学経営学部卒業後、パソコンソフトの卸売会社、総合商社子会社に就職し、2008年に独立。

2011年頃からSEO対策・アフィリエイト用の文章制作から、独学でリスティング広告やアクセス解析、SNS広告などを学び、サービスを展開。

短期大学の情報処理講師や職業訓練校のWebサイト制作クラス・ECマーケティングクラスなどで講師を担当。

現在は株式会社キヨスル代表取締役として、Webマーケティングをデザインすることでクライアントのビジネスに貢献する。

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