売上最大化か、事業存続か。過度なキャンペーンや急拡大の裏側にある考え方について
企業の経営や事業展開において、「投資会社」の視点と「現場の担当者(マーケティング担当者)」の視点とでは、根本的な考え方に大きな違いがあります。この2つの思考法の違いと、それが事業にどのような影響を与えるのかについて、考えてみたいと思います。
投資会社の考え方:売上と利益の最大化
投資会社の基本的な目的は、伸びそうな事業に資金を投じ、最終的に投資額以上のお金で事業を売却(または株式公開)することです。
つまり、会社や事業を株や債券と同じ「金融商品」の一つとして捉え、短期間での「売上・利益の最大化」を狙います。利益を出すことが最大の目的であるため、目標金額を回収できれば、その後の事業が何十年続くかどうかは、最優先事項ではないケースも多く見られます。
現場担当者の考え方:事業の継続と成長
一方、現場で実務を行う担当者の考え方は異なります。 与えられた予算の範囲内で最適な施策を考え、実行と改善を繰り返しながら、徐々に効率を上げていきます。
その根底にあるのは「会社の売上や利益をあげて、事業を長く存続させること」です。短期的に爆発的な利益を出すことよりも、売上と利益が継続して右肩上がりになるよう、事業の継続性を重視して日々の業務に取り組んでいます。
急拡大路線の裏側にあるもの
これら2つの考え方について、どちらが良い・悪いというわけではありません。企業の状況や経営の目的によって選ぶべき道は変わります。
しかし、投資会社的な「短期間での利益最大化」を優先しすぎると、事業の存続そのものが危ぶまれます。 例えば、数年前に急激な店舗拡大を行った「いきなりステーキ」や、最近ニュースになった「ドミノ・ピザ」の大量出店と一斉閉店(172店舗の閉店)の事例です。
- 参考
規模の拡大に走るあまり現場の対応が追いつかず、結果的に信用を失って一気に規模を縮小せざるを得なくなる。これは、短期的な利益を追求した結果、起こりやすい現象の一つです。
過度なキャンペーンがもたらす懸念
もう一つ、最近の事例として丸亀製麺の取り組みについて考えてみます。
丸亀製麺では、既存店の客数が前年を下回る状況が続いた背景からか、2月と3月に「ぶっかけうどん1杯無料」という非常に大胆なキャンペーンを行いました。
確かに一時的に客数は増えるかもしれませんが、事業を継続するという視点からは懸念が残ります。行き過ぎた無料・値引きキャンペーンは「安いから行く」というお客様を増やしてしまいがちです。 結果として、本来のサービス価値が伝わりにくくなり、現場への負担が増加し、長期的な利益を圧迫する可能性があります。
利益か、継続か。あなたの会社はどっち?
売上・利益の最大化を何よりも重視するのか、それとも、中長期的な事業の存続を重視するのか。
これは、単なる現場の施策の違いではなく、企業としての根本的な戦略の違いです。「世間で話題になっているから」「一時的に数字が上がるから」といって、自社の理念と合わない過度なキャンペーンや急拡大に手を出してしまうと、後々大きな代償を払うことになりかねません。
皆様の企業では、現在どちらの考え方に基づいて事業を展開されているでしょうか。今の施策が、本当に自社の目指す未来に繋がっているのか、一度立ち止まって考えてみるのも良いかもしれません。
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