ダークパターンは儲かるからはびこってしまう

最近巷で話題の「ダークパターン」をご存知ですか?実はウェブマーケティングに直結する話でもあります。なので今回は、「ダークパターンとは?」から、「正しい方法(ライトパターン)を主流にするには」というテーマでお話します。

ダークパターンとは?

ダークパターンとは、ユーザーにとって不利になる(企業にとって有利になる)決定を誘導する手法です。2010年頃から目立ち始めたのですが、主には下記のようなパターンを指します。

  • 登録は簡単だが退会がむずかしい
  • 配送料を隠して料金表示する
  • 一方の契約だけが目立つようにデザインする
  • 限定販売の期限が迫っているようにみせる

などです。

この中だと、退会ボタンを隠したり、電話でしか受け付けていなかったりという「退会がむずかしい」が一番身近なダークパターンになります。他にも、何度も退会すると、たくさんのステップを踏ませて退会を阻止しようとする手法も、未だに多くあります。

ダークパターンは短期的には確実に売上が上がる

このようにユーザーにとって不利・不快になるダークパターンですが、どうしてこんなにはびこっているのでしょうか?

企業がダークパターンを使う理由は簡単で、目先の売上が上がるからです。退会を阻止すれば、その分の会費が企業に入ります。より高額な契約だけを見せれば、安価な契約よりも客単価が上がります。企業は目先の売上目標を達成したいために、目先の利益を求めがちです。

ただ、このダークパターンの利益は短期的な利益アップにしかなりません。中長期的に見ると、悪い評判が広がってしまいマイナスの影響が出る事もあります。特にSNSの発達した近年では、悪い評判はすぐに広がってしまいます。

それでもダークパターンがはびこるのは、実はプラスとマイナスのどちらの影響が大きいのか、統計的なデータが出ていないからです。短期的なプラスの方が大きいのか、中長期的なマイナスの方が大きいのか、どちらとも言えないのです。例えば、短期的に売上をアップさせてM&Aで企業を売却したいオーナーにとっては、ダークパターンはむしろ合理的にもなります。

さらに、現在ダークパターンは法律的にグレーゾーンです。法的な問題はありません。ただ定期購入をめぐり、消費者庁への問い合わせ件数は右肩上がりです。なので、今後規制される可能性もありますが、現状は違法性がないとされています。

最後に、どこからがダークパターンなのかの線引きはむずかしく、仮に規制がされたとしてもグレーゾーンは必ず残ります。例えば契約と解約のボタンの大きさを、解約だけ小さくしたとしたら、どのサイズならダークパターンなのかはなかなか決められません。そしてウェブに限らず、現実でも営業電話は何回からダメなのか?リアルでも同じように線引が難しい問題なのです。

正しいやり方は顧客の利益を考える事

ダークパターンが間違った方法なら、正しい方法(ライトパターン)とはなんなのでしょうか?

ビジネスにおいて、それはたった1つしかありません。顧客の利益になるように行動する事です。顧客の利益が最終的には自分達の利益になるという考え方になります。ただこの考えはみんなが知っています。それでもダークパターンがはびこるのは、ダークパターンが儲かってしまうからです。コツコツやるよりも手っ取り早く儲かる方法があれば、そっちに飛びついてしまうのは仕方がない事です。

ではライトパターンを主流にする方法はないのかというと、そうではありません。ユーザーは正しい手法の企業にお金を払う事を心がければ、ダークパターンの儲けは減っていき、自然とダークパターン自体が減っていくでしょう。

なので私たちユーザーも、ダークパターンではなくライトパターンの企業にお金を払う事を、みんなで少しずつ心がける必要があります。