広告費は「売上の○%」で決めるな!黒字倒産を防ぐ適正予算の算出ロジック
「Web広告を始めたいが、いくら予算をかければ良いか分からない」「代理店に提案された予算で本当に大丈夫か?」
事業を拡大させる上で避けて通れないのが「広告費」の悩みです。一般的に言われる「売上の○%」という指標を鵜呑みにしていませんか?実は、その決め方が資金繰りを悪化させ、最悪の場合「黒字倒産」を招くリスクがあります。
本記事では、中小EC事業者が広告費を決める際に最も重視すべき「キャッシュフロー」の考え方を踏まえた広告予算の決定方法を考えてみましょう。
売上目標よりも「キャッシュフロー」を最優先
広告予算を決める際、多くの企業が「今期の売上目標」から逆算しがちです。しかし、最も重要なのは「今、手元に自由に使える現金(フリーキャッシュフロー)がいくらあるか」です。
いくら帳簿上で利益が出ていても、在庫投資などで手元の現金がなければ広告費は捻出できません。無理な予算設定は資金ショートに直結します。「売上規模」ではなく「手元に残る粗利と現金」を見て予算を判断する必要があります。
特にこれは中小企業ほど重要です。少しの資金ショートで倒産しかねないため、余裕資金を用意しておく必要があります。
具体的な目安は「粗利の10%」から
中小規模のECビジネスにおいて、現実的な広告費の限界ラインは「粗利の10%程度」となるケースが弊社のお客様では多いなと思います。
- 例:月商150万円、粗利90万円(粗利率60%)の場合
- 粗利90万円から人件費、システム利用料、物流費などの固定費を引くと、手元に残る利益は限られます。
- ここから捻出できる広告費は、現実的に「粗利の10〜20%」である9万〜18万円程度が妥当なラインでしょう。
無理に「売上の20%(この例では30万円)」などを広告費に充てると、経営を圧迫する可能性が高まります。営業利益の額もきっちり見ておいたほうがいいでしょう。
ECなら強みを活かす:「LTV」で獲得単価(CPA)を決める
ECサイトはリピート購入が期待できるビジネスモデルです。むしろリピートがなければ利益が出ないと思っていいでしょう。広告予算を考える際は、1回の注文単価だけでなく、「LTV(1人の顧客が将来にわたって生み出す累計粗利)」で考えることが重要です。
- 計算例:
- 平均客単価:5,000円
- 平均リピート回数:4回
- LTV(累計売上):20,000円
この場合、初回購入で利益が出なくても、LTVが20,000円あれば、例えば1人の新規獲得に5,000円の広告費をかけても将来的に回収できます。
メルマガやLINEを活用したリピート施策とセットで考えることで、許容できる顧客獲得単価を引き上げ、より積極的な広告運用が可能になります。
広告は「先にお金が出ていく」リスクを忘れない
広告運用を行う上で考えておかないといけないのが「広告費の支払いが先で、売上の入金が後になる」というタイムラグです。計算上は「半年後に回収して黒字化する」計画でも、最初の数ヶ月は広告費が先行して出ていくため、一時的に手元のキャッシュが大きく減ります(へこみます)。
この「キャッシュのへこみ」に耐えられるだけの内部留保(貯金)がなければ、広告戦略は破綻します。「計算上儲かるから」といって手持ち資金ギリギリまで突っ込むのは大変危険です。だからこそ最初は余裕資金で行う必要があるわけです。
弊社では広告運用の際にそのあたりもきっちりご説明させていただきます。
まとめ:予算は「自社の財布事情」で決める
適切な広告費は、他社の真似ではなく自社の状況によって決まります。
- まずは「粗利の10%」を目安にスモールスタートする。
- 自社のLTVを計算し、許容できる獲得単価(CPA)を明確にする。
- 一時的なキャッシュ減少に耐えられる範囲内で出稿する。
経済状況やビジネスフェーズによって適正予算は常に変化します。最低でも年に1回は、このロジックに基づき予算を見直すことをお勧めします。
投稿者プロフィール

- 代表取締役
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兵庫県伊丹市出身
2006年、立命館大学経営学部卒業後、パソコンソフトの卸売会社、総合商社子会社に就職し、2008年に独立。
2011年頃からSEO対策・アフィリエイト用の文章制作から、独学でリスティング広告やアクセス解析、SNS広告などを学び、サービスを展開。
短期大学の情報処理講師や職業訓練校のWebサイト制作クラス・ECマーケティングクラスなどで講師を担当。
現在は株式会社キヨスル代表取締役として、Webマーケティングをデザインすることでクライアントのビジネスに貢献する。

