売上拡大を狙うと事業が苦しくなる理由。規模を追う経営に潜む矛盾
企業の売上や規模を拡大していくことは、企業活動の主目的です。しかし、現場の視点で見ると、ただ規模を追うだけの事業展開は、時として事業そのものを苦しめる原因になることがあります。
特に、短期的に売上・利益をあげることを狙うと、事業の存続が危ぶまれます。
マーケティングの理想とは
著名な経営学者であるピーター・F・ドラッカーは、「マーケティングの理想は、セリングを不要にすること」と語っています。 営業活動や宣伝活動をしなくても、お客様が自然と商品やサービスを買いたくなる状態を作ること、これがマーケティング的な理想であり、マーケティングで目指すべき姿です。
お客様からのお問い合わせが自然と入り、継続して購入していただける仕組みが理想的と言えます。
規模を追うと理想から遠ざかる
しかし、売上をさらに拡大しようとすると、この理想から徐々に遠ざかってしまうという矛盾が生じます。
例えば、ある程度売上が立っている店舗が、さらに規模を拡大しようと近隣に新しい店舗を出したとします。すると、既存の店舗に来ていたお客様が新しい店舗に流れてしうこともあるでしょう。そうなれば、一店舗あたりの売上・客数・利益が下がってしまう現象が起こります。
また、新しい店舗を知ってもらうためには、チラシの配布や広告といった宣伝費用が新たに必要になります。結果として、広告宣伝費がかかることで、全体の売上は上がっても、一店舗あたりの利益は圧迫されてしまうのです。
過度な集客施策がもたらす悪循環
利益が下がってくると、多くの企業は「もっとお客様を呼ばなければ」と考えます。そこで、無料で商品を提供したり、有名人を起用した大掛かりな宣伝活動など、費用をかけて集客を行うことになるでしょう。
これらの集客施策で、確かに一時的な客数や売上は増えるかもしれません。しかし、その分だけ宣伝費用がかさんでいるため、手元に残る利益は減ってしまう可能性が非常に高いです。
最悪の場合、「安くしたり、大掛かりな宣伝をしたりしないと、お客様が来てくれない」という、本来の理想とは真逆の状況に陥ってしまう可能性があります。
利益が最大化する適正な規模を見極める
では、どうすれば事業を苦しめずに継続できるのでしょうか。 それは、無理な売り込みをしなくてもお客様が自然と繰り返し利用してくれて、かつ自社にもしっかりと利益が残る「最適な一点」を見極めることです。
かの稲盛和夫氏も「値決めは経営である」という言葉を残しています。利益を少なくして大量に売るのか、それとも販売数は少なくともしっかりと利益を確保するのか。お客様にとっても自社にとっても、双方が幸せになれる価格を追求することが重要だと語っています。
値決めは経営である | 思想 | 稲盛和夫について | 稲盛和夫 オフィシャルサイト
「売上を伸ばすこと」だけが正解ではありません。自社がどのような立ち位置で事業を継続していくべきか、一度立ち止まって考えてみるきっかけになれば幸いです。
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