AIモデルの利用から考える経営理念を持つべき理由
AIモデルで様々な人種や体型のモデルを生成できるようになり、人間のモデルを使って撮影する手間がなくなりつつあります。そこで今回はAIモデルと経営理念についてのお話です。
大企業は社会的責任を負うべきと考える人が多い
AIと言うとchatGPTのような文字を生成する物を想像する人が多いかもしれません。実は、ECサイト界隈ではAIモデルの利用が始まっています。しかし一方で差別の助長になるのではないかとの批判も上がっています。
AIモデルと経営理念、一見結びつかなさそうな2つですが、実はかなり関係性があります。
先日、リーバイスが大きな批判を受けました。理由はAIモデルを採用したからです。AIモデルを生成するという事はモデルのしごとを奪うことになります。リーバイスは多様な人種をAIモデルで生成することで人権を守っているつもりでしたが、その逆に多様な人種のしごとを奪うことに繋がったのです。もちろんこの批判にはアメリカのポリコレがかなり入っていますので、日本で同じことが起こっても炎上するとは言えません。
(参考)リーバイスに批判…生成AIを使った「多様性」表現に差別助長のリスク。AI利用の倫理対策に乗り出す広告業界
この事件での注目ポイントはリーバイスが批判されたという点です。実は小さなECサイトでは、すでにAIモデルはかなり使われています。しかしリーバイスのように批判される事はありません。小さい企業は避難されず、リーバイスが大きな企業だった為に起きた批判なのです。多くの人が大きな企業ほど「雇用を守るべき」「差別はしてはいけない」などの社会的責任を負うべきだと考える人が多い事の証明とも言えるのではないでしょうか。
経営理念を持つ事で得られる利益
リーバイスの一件は企業規模が大きくなっていくことで、批判される経営リスクが増えることがわかります。この批判されるリスクを減らすために、経営理念が役立ちます。もしリーバイスが経営理念として人種の多様性を尊重することを掲げていれば、未然に済んだ事件かもしれません。
中小・零細企業や個人事業主・フリーランスは社会的影響が少ないので、経営理念を決めていなくてもリスクは低いでしょう。八百屋や町の工務店などは経営理念を決めていない所がほとんどだと思います。しかしそれでも経営はできますし、それは日本に限らず世界でも同じです。
ですが企業規模に関わらず、経営理念は持っておくと良い事もあります。
1つは経営理念に共感しての就職です。弊社も経営理念を掲げており、それに合わせた社名やロゴの作成を行いました。その結果、理念に合った社員とともに仕事ができていると実感しています。
ビジネスは同じ職業であればやる事は同じです。A病院とB病院で勤めている看護師が一切違う仕事をする事はありません。ウェブデザイナーもどんな企業に就職してもやる事は同じです。となると求職者はそれぞれの企業と他社の差で就職先を決める事になります。その差は分かりやすいもので言えば給与や待遇ですが、それが同じ場合は自宅からの距離などから考えます。その時に経営理念も判断基準の1つにしてもらう事ができるのです。
また、経営理念への共感で選んで就職してくれた従業員の退職率は低くなりがちです。定着率を上げたい場合にも経営理念を掲げる事はプラスになります。
もう1つは商談のきっかけになる場合がある事です。「どうしてこういう経営理念何ですか?」と話が弾み、商談が成功する事があります。弊社も何度か、経営理念で盛り上がったことはあります。
もちろん経営理念が絶対に大きなプラスになるという訳ではありません。ですが、些細なきっかけになる事は間違いありませんので、どんな企業でも持っておくことをおすすめします。