令和のマーケティングとは?マーケティング1.0から4.0になっても変わらない本質
令和になりマーケティングも変化していく中で、今後マーケティングはどうなっていくのでしょうか。現場目線で、これまでのマーケティングの流れも交えながら考えていきたいと思います。
マーケティング1.0から4.0へ
マーケティングは日々進化し、現在は4.0のステージになっていると言われています。まずは最新のマーケティングを話す前に過去のマーケティングについて、おさらいしましょう。
マーケティング1.0は高度経済成長期から始まったもので、いわゆる大量生産・大量消費の時代をベースにした考え方です。これは日本のみならず、世界中が同じような時代でした。団地のように同じ場所に住み、画一化されたデザインの家電など、同じ物を持つ事が豊かさの象徴でした。
マーケティング2.0はターゲティングの時代です。マーケティング1.0で商品が大量生産される事で様々な物があふれ返ったことで、逆に個性が出てきた時代です。この頃から消費者の趣味もアニメやバンドなどのエンタメを中心に、多様化していきました。マーケティング2.0では「こういう属性の人達に絞って商品を届けよう」という、現在のマーケティングの基礎ができた時代でもあります。
マーケティング3.0は企業の社会的責任が問われた時代です。高度経済成長期が終わり、環境に悪い物や軍事転用できる物は買わないようにしようという動きが出てきました。日本で言うと水俣病やアスベストなどの環境問題は企業の責任である、と考える動きが出てきました。「社会にとって良い物を買う」という思考が消費者に出てきた時代と言えるでしょう。
そしてマーケティング4.0が現在のマーケティングです。2.0とは少し違い、消費者の精神面を重視しています。自己実現の時代とも言るでしょう。物を持つ金銭的な豊かさではなく、精神的な豊かさが求められています。例えばVTuberへのスパチャ、いわゆる投げ銭で配信者とつながっている実感を得たり、使用した金額で周りから賞賛される事がアイデンティティーになったりする人がいます。このようにモノ消費ではなくコト消費、物を所有するのではなくお金を支払って体験する事が今は求められる時代になりました。
どんな時代でもマーケティングの本質は変わらない
マーケティング1.0~4.0の考え方はフィリップ・コトラーが提唱したものです。コトラーはマーケティングの著名な経営学者ではありますが、この流れは参考程度にとどめるべきでしょう。
現実ではこれらのマーケティングのステージとは真逆の事も起きています。例えばポケモンカードは高額転売が問題になっており、購入の際の喧嘩がSNSでも動画投稿され話題になっています。そしてこのポケモンカードは精神的な満足感ではなく、高額で売れるからと単なる儲け主義の精神で取引されています。
また、日本では新車の登録台数よりも中古車の登録台数が約2倍あります。環境の事などを考えれば新車の方が良いのですが、現実では中古車の方が売れています。マーケティング3.0の考えで動かない人も大勢いるという事です。
更に最近Z世代を中心にコスパ・タイパという言葉が使われます。昔以上に費用対効果を求めているわけですが、自己実現や精神的満足はお金や時間は直接関係しません。しかし実際には「同じ時間を使うなら、同じお金をかけるならより効率が良い方を」と言う若者が多いのです。これはマーケティング2.0に近い考え方です。
このように、今はマーケティング4.0の時代だと言っても真逆の事が現実では当たり前のように起きています。昔と比べて日本に住む外国人も増えました。この人達が日本人とまったく同じ考え方をする訳がありませんし、日本人にも様々な考え方を持つ人がいます。人間社会は複雑化しています。買いたい物、価値がある物、お金の使い方は人によって全然違います。ですのでマーケティング4.0などのくくりにこだわると意思決定を間違う事になります。
- ただ、どんな時代でもマーケティングの本質は変わりません。
- 顧客のニーズを満たす商品を作り
- 必要とするユーザーへのプロモーションを行い
- 購入してもらう
- その後リピート購入してもらい
- 商品が口コミで伝わる
これがマーケティングの本質です。この本質を抑えた上で、今のマーケティングの流れを知っておくと参考になるでしょう。