「なぜ売れたか」を考える必要はあるのか?現場のマーケターが捨てるべき“分析”の罠

マーケティング界隈でよく耳にする「顧客インサイトを深掘りしろ」「N=1分析が重要だ」という言葉をご存知でしょうか?あなたも会議室で、ターゲットの深層心理について何時間も議論した経験があるかもしれません。

しかし、現場で日々数字と向き合っているマーケターの視点から見ると、 過度な顧客インサイト分析は、ビジネスにおいて「時間の無駄」になるのではないか?と感じます。

今流行の「分析至上主義」に対して、現場からの視点で考えてみたいと思います。

顧客インサイトは、所詮「推測」にすぎない

そもそも顧客インサイトとは「顧客自身も自覚していない潜在的な欲求」のことです。 自覚していないのですから、アンケートやインタビューで直接聞いても、本当の答えは返ってきません。

つまり、どれだけデータを集めて分析しても、結局は「分析する人間の『仮説(推測)』」の域を出ないのです。 仮説である以上、間違っていることも当然あります。正しい仮説にたどり着くまで分析を繰り返す…というプロセスは、時間もお金も限られている現場のビジネスにおいて、本当に正しい選択でしょうか?

外資系企業に学ぶ「ファクト(事実)」の強さ

以前、ある外資系企業のセミナーで聞いた非常に興味深いエピソードがあります。

その企業では、ペット用品のWeb広告を配信する際、ユーザーのペットの写真(UGC)を複数パターン使ってA/Bテストを行いました。すると、ユーザーの写真ごとによって明確に反応の差が出たそうです。例えばAはCVR(購入率)が1%、Bは0.2%、Cは2.5%というような感じです。

ここで日本の企業なら「なぜAの画像の方が反応が良かったのか?顧客のどんな心理を突いたのか?」を深掘りしがちです。 しかし、その外資系企業は違いました。

「理由はなんだっていい。結果が良かった広告中心に配信を増やしてほしい」

これが本社の判断だったそうです。顧客がなぜ反応したのか、顧客インサイトを深堀りしようという指示はありません。ただ「数字が良かったから、それに予算を投下する」という極めてドライな、しかし確実なファクト(事実)ベースの判断です。

「当たった理由」は後からいくらでも作れる

ビジネスにおいて「なぜこういう結果になったのか?」を知的好奇心で深掘りしたくなる気持ちは分かります。 しかし、「なぜ売れたか」を分析したところで、明日の売上や利益が急に上がるわけではありません。

現場のリアルを言えば、出してみないと何が響くかなんてプロでも分かりませんし、「当たった理由(インサイト)」なんて、結果が出た後からいくらでも、それらしい理屈を作れてしまうのです。

我々は「研究者」ではなく「マーケター」だ

細かい顧客心理の分析は、学者のような「研究者」に任せておけばいいのです。 我々は、現場で1円でも多くの利益を生み出すための「マーケター」であり「ビジネスパーソン」です。

頭で考えても分からないことに時間を費やす(足るを知る)のではなく、予算があるなら今すぐ広告を配信し、A/Bテストをして、市場のリアルな反応(数字)を取りに行きましょう。

答えは会議室の中にはありません。「市場」にしかないのです。

投稿者プロフィール

松本 孝行
松本 孝行代表取締役
兵庫県伊丹市出身

2006年、立命館大学経営学部卒業後、パソコンソフトの卸売会社、総合商社子会社に就職し、2008年に独立。

2011年頃からSEO対策・アフィリエイト用の文章制作から、独学でリスティング広告やアクセス解析、SNS広告などを学び、サービスを展開。

短期大学の情報処理講師や職業訓練校のWebサイト制作クラス・ECマーケティングクラスなどで講師を担当。

現在は株式会社キヨスル代表取締役として、Webマーケティングをデザインすることでクライアントのビジネスに貢献する。
Web広告の無料診断・セカンドオピニオン(横長)