社員インフルエンサーで大成功!なのにリストラ?その理由から学ぶマーケティングの本質

最近、ニュースで話題にもなっている資生堂の事例から「SNSマーケティングの成功と事業の成功はイコールではない」について考えてみたいと思います。

「社員インフルエンサー」を活用し、SNSで大成功を収めた企業が、なぜ過去最大の赤字を計上し、大規模なリストラを行うことになったのか? その背景から、学ぶべきマーケティングの本質を考えてみましょう。

資生堂の「社員インフルエンサー」成功事例

Webマーケティング業界で話題になった事例の一つに、資生堂の「社員インフルエンサー」プロジェクトがあります。

資生堂は、約50人のデジタルマーケティング担当者を擁し、動画やSNS、ライブコマースなどで自社製品をプロモーションしています。中には10万人を超えるフォロワーを持つ社員インフルエンサーも誕生し、ブランド認知やエンゲージメントの向上に大きく貢献しました。 これは、SNSマーケティングの成功事例として、Webマーケティング業界では知られています。

参考:資生堂の社員インフルエンサープロジェクト フォロワー10万人超の美容部員を生み出す秘訣 | 【レポート】Web担当者Forumミーティング 2024 春 | Web担当者Forum

SNSは大成功。でも「過去最大の赤字」と「リストラ」?

しかし、ニュースでも報じられた通り、資生堂は最近、過去最大の赤字を計上し、1,500人規模のリストラを実施するなど、事業再編を迫られる状況に陥りました。

資生堂、過去最大の赤字に…「マーケティングの巨人」に何が?V字回復の可能性は? | ビジネスジャーナル

「SNSでこれだけバズって、フォロワーも多いのに、なぜ?」と疑問に思う方も多いのではないかと思います。

赤字になってリストラまでする事態に陥ったのは、SNS戦略そのものが失敗したからではありません。ブランド認知度やエンゲージメントは、今でも高く維持されているようです。問題は他にあったのです。

赤字の本当の原因:戦略とプロダクトの課題

SNSの成功を打ち消してしまった大きな要因は、以下の2点が大きな要因とされています。

① 海外M&A(経営戦略)の失敗

最大の要因は、海外事業の減損処理です。 例えば、1,000億円で買収した企業の価値が、実際には10億円しかなかった場合、差額の990億円は「損失(赤字)」として処理しなければなりません。 経営戦略(M&A)で巨額の損失を計上する事例があると、いくらSNSという「戦術」で頑張っても、カバーしきれないのです。

② プロダクト(商品力)の低下と売却

もう一つの要因は、マーケティングの基本である「4P(Product, Price, Place, Promotion)」のうち、「Product(製品)」部分の弱体化です。

資生堂は過去に、「TSUBAKI(ツバキ)」などの黒字だった有名な日用品事業を売却しています。結果として、売上の基盤となる「商品力」が落ちてしまっているとかんがられます。

「プロモーション(Promotion)」にあたるSNSマーケティングがいくら優れていても、売るべき「プロダクト(Product)」が弱ければ、最終的な利益には繋がりません。

資生堂から私たちが学ぶべき3つの教訓

資生堂の事例は決して対岸の火事ではありません。中小企業や現場のマーケターも、以下の3点を肝に銘じる必要があります。

  1. 「経営戦略」のミスは「SNS(戦術)」ではカバーできない
    • 戦略の方向性が間違っていれば、いくらSNSでバズっても事業は好転しません。
  2. 追うべきは「フォロワー数」ではなく「利益」である
    • SNS担当者やマーケターは、つい「いいね数」や「フォロワー数」というKPIを追いかけがちです。しかし、ビジネスの最終目標は「利益」です。100万フォロワーで利益ゼロよりも、0フォロワーで利益1億円の方が、ビジネスとしては正解なのです。
  3. マーケティングは「4P全体」で考える(プロモーションは一部に過ぎない)
    • SNS集客(Promotion)にばかり目を奪われず、「どんな商品を(Product)」「いくらで(Price)」「どこで(Place)」売るのか、この土台から見直すことが重要です。

まとめ

SNSで話題になること、フォロワーを増やすことは素晴らしい戦術です。 しかし、「プロモーションの成功」が「事業の成功」を保証するわけではありません

常に「これは利益に繋がっているか?」「商品力や戦略は間違っていないか?」と問い直す視点を持たなければなりません。これは経営者だけでなく、マーケターも持っておくべき視点ではないでしょうか。

投稿者プロフィール

松本 孝行
松本 孝行代表取締役
兵庫県伊丹市出身

2006年、立命館大学経営学部卒業後、パソコンソフトの卸売会社、総合商社子会社に就職し、2008年に独立。

2011年頃からSEO対策・アフィリエイト用の文章制作から、独学でリスティング広告やアクセス解析、SNS広告などを学び、サービスを展開。

短期大学の情報処理講師や職業訓練校のWebサイト制作クラス・ECマーケティングクラスなどで講師を担当。

現在は株式会社キヨスル代表取締役として、Webマーケティングをデザインすることでクライアントのビジネスに貢献する。
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