値上げできる企業とできない企業、その違いは?
毎日のように値上げの話を聞く今日このごろですが、値上げできる企業とできない企業の違いとはなんなのでしょうか?値段を決める事はマーケティング上、とても大事な事ですので、ぜひ考えていただければと思います。
値上げ=客離れは正しいのか?
激安でおなじみのブラックサンダーも値上げされ、日常生活の様々な物が値上げラッシュです。また、値上げ理由のほとんどが、「原材料費・物流費・人件費などの高騰」によるもので、値上げせざるを得ない状況という訳です。
ですが、値上げを考える時にほとんどの企業が懸念する事があります。それが「値上げによる客離れ」です。値上げによって客が離れてしまうのはその通りですが、すべてのビジネス・サービスに当てはまる訳ではありません。また、値上げしたことによる客離れがどのくらいになるのか、その規模感も企業によって違います。
値上げによる客離れを懸念する前に、その懸念は正しいのかを調査するのが重要です。
値上げで成功したオリエンタルランド
それでは、値上げで成功した事例を見てみましょう。
ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドは、過去最高益を出しています。特に2024年3月期は売上が5138億円(30%増)、営業利益が1395億円(49%増)と、前年比と比べても大幅に増えています。ですがオリエンタルランドは2011年から値上げを繰り返しています。ディズニーランドの入園料だけを比べても、2011年は5800円だったものが2023年後半には約9000円まで値上げされています。約1.5倍に値上げしたにも関わらず、入場者数は200万人増えたのです。
(参照:なぜユニバは勝てない?「ディズニー」だけがチケット値上げでも“最高益”の理由 【連載】価格戦略の必勝法|FinTech Journal)
このように、値上げをする事で逆に成功したパターンもあるので、一概に「値上げ=客離れ」とは言えません。
しかし、このオリエンタルランドの例を見て「値上げしても大丈夫」と思うのは危険です。成功する企業もあれば、もちろん失敗する企業もありますから、簡単に値上げするのもまたあまり良い判断とは言えません。
値上げで失敗したリンガーハット
逆に値上げで失敗した事例として、リンガーハットがあります。
もともと500円でちゃんぽんが食べられる店でしたが、約1.5倍以上にもなる値上げをし、客離れが起きました。リンガーハットはもともとロードサイド店をメインにしていましたが、フードコートに転換し店舗を増やしました。しかしフードコートは様々な店舗とメニュー・価格が比較検討されやすい場所です。同じような値段で他により良い物があれば、そちらに流れてしまいがちです。結果、他の店に客が流れてしまい、顧客離れば起きてしまいました。
(参照:長崎ちゃんぽん「リンガーハット」が値上げで客離れ…フードコート依存からロードサイド型への転換に光はあるのか(集英社オンライン) - Yahoo!ニュース)
このように、他と比較検討されやすいものは、値上げで客が離れていってしまいやすいといえるでしょう。逆にオリエンタルランドのような他と比較がされにくいもの、唯一無二の違いがあるものは値上げをしても成功しやすいと言えるのではないでしょうか。
値上げチェックポイント
では自社で値上げをしたい時、どこを見れば良いのでしょうか?簡単なチェックポイントを用意しましたので、ぜひ考えてみてください。
- そのビジネスは比較検討されにくいですか?
- そのビジネスは他にない差別化要因がありますか?
- そのビジネスは安値戦略を取っていましたか?
- そのビジネスは顧客にとってなくてはならないものですか?
値上げも見極めが大切です。他社がやっているからなどではなく、自社のビジネスを見つめ直すいいチャンスと考えるのが良いかもしれません。