その差別化戦略に市場性はありますか?

私自身がニュースを拝見していて、差別化戦略を取っている事例を見つけました。今、貴社で行おうとしている差別化戦略が正しいのかどうかの参考になれば幸いです。

話題性と市場性はイコールではない

イオンシネマで新たに誕生した、IMAXシアターをご存知でしょうか。より臨場感のある映像が楽しめるものだそうです。また、日立が開発した新しい炊飯器は京都の有名な飲食店である八代目儀兵衛とコラボしたものでした。

差別化戦略は必要、それ自体は間違いではないでしょう。しかし、上記のIMAXシアターや日立の炊飯器を見た時に私が抱いた感想は「市場性はあるのか?」というものでした。もちろん上記商品や企業を批判するつもりはありませんし、差別化が十分行われています。話題性もあります。

しかし今回重要なこととして、差別化戦略では単に他と違う事をすれば良いという訳ではない点です。

差別化戦略において市場性は重要です。市場性とは端的に言うと「買ってくれる人がいるかどうか」です。商品を欲しいと思ってくれた人がいても値段設定が高過ぎると買ってもらえませんし、買ってもらえたとして販売数が1個2個ではビジネスが成り立ちません。ある程度の規模を求めるには、それだけの人が欲しがる物でなければいけません。差別化戦略を行うにあたって「その商品はどれだけ求められているのか?」をしっかりと調べる必要があります。

日本は高級路線、海外では低価格路線で差別化

差別化戦略について日本と海外を比較した時、日本は上記の炊飯器のように、高級路線で差別化を行うことが多いように見えます。逆に海外を見てみると、例えばNetflixやAmazonプライムなどは映画館よりも安い値段設定です。家電も低価格の物を売り出すなど、低価格路線での差別化を行っているように見えます。

なぜ海外ではこのような低価格路線が行われているのでしょうか。おそらく差別化が難しいからではないかと思われます。例えば家電でいうと日本は様々な機能をつける事で差別化をします。海外では差別化するのではなく、いわゆるコモディティとしての販売を狙っているのではないでしょうか

今後の日本では低価格路線での差別化が必要になる?

もちろん海外がすべて正しいという訳ではありません。ただ、今の日本の差別化戦略を見ると、低価格路線での差別化がキーになるのでは?と思います。

IT業界ではフリーミアムという考え方があります。基本的な利用は無料で、追加機能を使ったりする場合には有料という価格モデルです。このモデルはビジネスでも特別珍しくなくなりました。まずは無料で使えるという点で市場を伸ばしていく(ユーザー数を増やしていく)手法です。

現在、世界的にインフレの波がやってきています。日本もインフレが加速していますが、それに給料アップが追いついていないと言われています。そのため、貧困化が懸念されています。給料が上がってこないとなると、購買意欲が下がる為、今後の日本に必要な差別化は高級路線ではなく、低価格路線の方が受けるのではないかと考えられます。もちろんこれは予想でしかありません。

マーケターにとって差別化を考える事は当たり前の事ですが、単に他社と違う物を出すのではなく規模を持った市場、欲しい人がいる市場を見極めて差別化を行う事が重要です。

それがない場合は思い切った低価格路線にすることも重要ではないでしょうか。低価格であれば、購買層が増えます。低価格による差別化も今後はアリになってくるのではないでしょうか。