LTV増大に必要な消費者のインサイトをマクドナルドのサラダの例から見る

マックサラダの失敗について、ご存知でしょうか?消費者のインサイトについて考えるのに非常に良い例なので、こちらを例に考えてみたいと思います。

数字は嘘をつかないが嘘をつくのに数字が使える

まず、ウェブマーケティングでは数字というものが非常に大事です。数字が99%だと言っても過言ではありません。基本的に数字は嘘をつきません、見たそのままのとおりです。例えばインプレッション・リーチ・クリック数・費用など…見たまま、そのままの数字は正しいと言えます。計測の方法を間違っていない限り、これらの数字が間違いになることはありません。

ただ数字は嘘をつきませんが、嘘をつくのに数字を使う人は多々います。例えば「いいね!が1万件つきました」と聞くと「凄いな!」と皆さん思うかもしれませんが、実際にいいねをつけた人達はどんな人なのかは数字だけでは分かりません。裏側を見てみると、業者がつけた1万件かもしれません。いいねをつけた人のアカウントを実際に見に行ったり、その後の行動を見てみないと実態は分かりません。

また、例えば「コンバージョン数が100件を超えた」と聞くと良いように思いますが、実際の注文は10件だけという事もあります。これは「カートに入れるまでをコンバージョン数としてカウントしている」など、決済をコンバージョンとしていないと起きることがあります。この場合のコンバージョンは決済の数を指してはいません。コンバージョン数が100件と言っても、内容を見なければ良し悪しはわかりません。

このように数字は嘘をつきませんが、こちらである程度の操作ができる数字もあります。いいねの数やフォロワー数は買えますし、やり方次第では一気にコンバージョン数を増やしてAmazonや楽天のランキング上位に躍り出る事も可能です。

つまり、ただ数字を見るのではなく、数字の裏側を見る事が大事なのです。よく使われるKPI(重要業績評価指標)が上がって、売上が上がっているのかどうかを見ないといけません。上がっていないのであればKPIが間違っているか、その裏側にある何かが違うのです。その「裏側にある何か」を知るために消費者のインサイトが必要になってきます。

マクドナルドのサラダはなぜ失敗したのか?

消費者のインサイトを見るというのは、数字を見るだけではありません。消費者の心理や行動を推察する必要があります。ただこれはあくまで推察で、裏付けになる数字や行動を見なければなりません。

この消費者のインサイトを深掘りする事で、顧客をより知る事ができます。そうすると顧客がよりファンになってくれたりし、それがLTV(ライフタイムバリュー)のアップにつながっていきます。

LTVは一生の内にどれだけのお金を使ってくれるかを表すものですが、これは消費者のインサイトと関係してきます。例えばタピオカや流行りの歌手といった、最初の内は数回購入するものの以降は続かないような流行り廃りの激しいものはLTVが低い傾向にあります。流行り廃りで好きにはなってくれるものの、深く好きにはなってもらえないのでLTVが低くなります。

ここで良い例になるのがマクドナルドのサラダです。このマクドナルドのサラダはアンケート結果において一時期圧倒的な支持を得ました。「ヘルシーな物・健康的な物が食べたい」という顧客のアンケート結果に基づきサラダを販売しました。しかしマーケットインの考えで開発された商品にも関わらず、売れ行きは不調でした。その後、アンケート結果とは真逆のビッグマックより大きいサイズのハンバーガーなど、高カロリーな商品を出したところこちらは大ヒットしました。

なぜ消費者のアンケートと真逆の結果になったのでしょうか。消費者はマクドナルドにヘルシー・健康を求めていなかったわけです。ヘルシーな物・健康的な物を食べた方が良い・提供してほしいとは思っていますが、それをマクドナルドで食べるかどうかはまた別の話、という訳です。ヘルシーなものは別の飲食店を選んで食べたいということなのでしょう。

最近で言うとジャニーズの性加害問題も消費者インサイトを考える上では非常に参考になります。大きな問題になっていますが、それでも応援するファンは根強くかなりの数がいます。マクドナルドの例もジャニーズの例も、消費者が相反する感情を持っているということがわかります。この部分をしっかりと深掘りして行かないと、マクドナルドのサラダのように間違った方向へと進んでしまいます。

今の時代、消費者のインサイトを深掘りする事はより重要になってきたと言えるのではないでしょうか。