社長は「業績」に責任を持つ。社員は「行動」に責任を持つ
よくブラック企業の話を聞くと「責任」と言う言葉を使って従業員を怒鳴りつけるシーン想像します。働くことにおいて、この「責任」とは一体どういうものなのか考えた事はありますか?
社長は業績に、従業員は行動に責任がある
何が社長の責任なのか?何が従業員の責任なのか?
これを考えるきっかけは、中小企業系コンサルタント・一倉定氏の考えをまとめた本を読んだ事がきっかけでした。本書には非常に分かりやすく、責任についてまとめられていました。(参考:一倉定の社長学)
- 社長は業績に対して責任を持たなければならない。
- 従業員は行動に対して責任を持たなければならない。
これは非常に合点のいく言葉だと私は感じました。会社の売上や仕入の金額、赤字なのか黒字なのか、利益はどれくらいなのか…これはすべて社長の責任であり、従業員の責任ではありません。つまりよくブラック企業などで行われている「どうして売上が上がらないのか」と従業員を叱責する話は、おかしな話なのです。売上が上がらないなら、社長には売上が上がらない理由を探し、改善する責任があります。
反対に従業員の責任は「指示通りの行動ができているのかどうか」という部分にあります。例えば営業で、「10件回る」と目標を決めて、10件回らなかったら怒られます。「10件回って1本も営業が取れなかった事」を経営者が怒ってはいけないのです。指示された事を行い、工夫して効率化を図っても上手くいかない場合の責任は従業員ではなく、社長にあります。
中間管理職は管理への責任がある
では社長と従業員の間、中間管理職の責任とは何なのでしょうか?
本書では中間管理職の責任についての記載はありませんでしたが、本書を通して私が独自に思った事は「管理への責任」です。経営陣から渡された経営戦略に合わせて管理を行う責任です。従業員をサボらせていないか、残業をさせ過ぎていないか、行動に関しての改善を行いっているのか…。このような「管理する事への責任」が中間管理職にはあるのではないでしょうか。
ですので中間管理職にも、業績に対する責任というのは基本的にはありません。ただ、部下の管理に関して責任を持つのは間違いないでしょう。
実際にきちんと責任を持てている会社は少ない
この考えは非常に分かりやすく納得のいくものですが、現実問題きちんと徹底している会社はほとんどありません。
業績に対しての叱責をされる従業員はたくさんいますし、業績どころか行動にも責任を取らない社長もいます。特に2代目3代目になると、「その状況が当たり前」という認識を持ってしまう事が多く、業績や行動への関心が低くなりがちです。
以前に、「業績・業種・業態がまったく異なる企業の事例を朝礼などで社長が話す」といった話を聞き、とても驚いた事があります。自社の話をした方がいいですし、せめて同じ業種・業態の企業の話をした方が良いのは他人が見てもわかります。しかし、こういった社長は業績に対して関心も責任もないのだろうと、本書を通して思いました。
最近は独立してフリーランスになる人も増えてきましたが、その場合は業績に対しての責任も出てきます。行動と業績、両方の責任があると考えておくのが良いでしょう。