能動的な情報収集と受動的な情報収集

検索での上位表示(SEO対策)へのこだわりは未だ根強いですが、最近はまとめサイトや芸能人に関するブログ記事などが上位表示されやすい傾向にあります。人によってはノイズが多いと言う人もいます。ノイズだけでなく、検索エンジンの利用率の低下により「検索に頼りきりは良くない」と言える状況です。

検索エンジンからアプリ、SNSへ

実はGoogleの検索エンジン利用率は、2020年のコロナ渦になるまで右肩下がりでした。それが、コロナ渦になり、「コロナとはどんな物なのか?」「コロナ対策は何をすればいいのか?」のように、たくさんの人が検索に戻ってきました。そして、検索エンジンの利用率は右肩上がりに戻ったのです。

とはいえ、コロナが落ち着いてきた昨今は、また利用率が低下しています。

パソコンがないとインターネットに触れられなかった時代は終わり、今は老若男女問わずスマートフォンを持つようになりました。必然的に、検索エンジンに触れる人間は増えていますが、利用率は右肩下がりになっています。検索エンジンの利用率が下がる背景にあるのはスマートフォンで、SNS・ゲーム・漫画などを見る人が増えたためです

そもそも検索はGoogleが「Do・Know・Go」という3つのニーズを満たす為に利用すると言っています。Doは「○○をしたい」というニーズです。買い物や旅行をイメージすると分かりやすいです。欲しい物について検索をしたり、旅先の観光地についての「○○をしたい」というニーズを満たす検索です。Knowは「知りたい」というニーズです。「○○ とは?」や、気になった芸能人の名前で「○○ 結婚」などの「知りたい」というニーズを満たす検索です。Goは「場所に向かう」時のニーズです。どこかに外出する際の目的地の検索や、「トヨタのサイトが見たい」といった目的のサイトに向かう為の、「場所に向かう」というニーズを満たす検索です。

実はこの3つしか検索にニーズはなく、今このニーズはSNSなどに取って代わられています。例えば買い物1つ取っても、Instagramショップを使えば値段つきで商品紹介ができますので、欲しい商品の検索から購入までをInstagramで行えてしまいます。旅行ならじゃらん、買い物なら楽天やAmazonのアプリを使えば、Googleを経由せずに購入までスムーズに行えます。

このように「わざわざ検索エンジンで検索する必要がなくなった」のが、検索エンジンの利用率低下の大きな要因です

SNSやレコメンドは受動的な情報収集

とはいえ、SNSなどに取って代わられたのは、検索が面倒になったからではないかと私は思います。SNSは好きな人をフォローしていれば、その情報が自分の元に勝手に流れてきますし、似たような物をおすすめもしてもらえます。

このような「受動的な情報収集」は、テレビをつけっぱなしにしているのとほとんど同じで、実は多くの人が好んでいるのではないでしょうか。反対に検索は自分で欲しい物を見つけてきて、入力して検索ボタンを押し、必要な情報を探します。ニーズがはっきりしていないと行えない「能動的な情報収集」です。

このはっきりとしたニーズをマーケティングでは「ウォンツ」と言います。このウォンツをSNSで作り出す事はできても、完結させる事はまだ難しい時代です。例えば問い合わせや予約などはサイトで行います。検索エンジンが必要な場面はまだまだあります。商品やサービスを購入してもらう為にはまず、認知してもらう事が必要ですが、この認知の部分においては検索はSNSより劣るといえるでしょう。認知は動画やSNSで行い、比較・検討と購入は検索、というのが両者の強みが発揮されるのではないでしょうか。