中小・零細企業は「組織は戦略に従う」をシステムにも取り入れるべき?

経営学を学んでいると一度は必ず、チャンドラーの「組織は戦略に従う」という理論を耳にするかと思います。戦略が先にあり、その戦略を実行する為にどういう組織を作り、動かすのかという考え方です。ですがアンゾフはまったく真逆の考え、「戦略は組織に従う」を提唱しました。全く正反対の理論を二人の経営学者が唱えています。

システム・制度上もガラパゴス化が多い日本

アンゾフの「戦略は組織に従う」は、「その組織に合わない戦略を掲げても実行できない、戦略は無意味になる」という保守的な考えです。反対に有名なチャンドラーの「組織は戦略に従う」は「戦略に合わせて組織を作る・変える・動かす」という理想的な考えだと言えます。

しかしこの「組織は戦略に従う」という理論を日本で行うのは難しいでしょう。経営学的にも有名な話ですが、日本と海外ではシステムや制度の差があります。

この差というのは単純な技術面だけの話ではありません。日本ではIT化を進める時に、独自のシステムを作ろうとする傾向にあります。システム開発会社に「私の会社はこういう状況だから、これに合わせたシステムを作ってほしい」と組織に合わせたシステムを作る、まさにアンゾフ型を進める傾向にあります。そしてこのやり方はとてもコストがかかります。既存の物ではなく、自社だけに合うものを作るので当然です。

では海外ではどうなのでしょうか。もちろん日本と全く違う訳ではありません。GoogleはおそらくGoogle独自のシステムを使用していることでしょう。しかし日本の場合は「システムを組織に合わせる」事が海外に比べて圧倒的に多いと言われています。海外では逆に「既存のシステムに組織を合わせる」方が多いと言われています。こちらの方がコストが安く済みます。その為、既存のシステムに組織を合わせる為に組織改革を行います。組織改革を行った際、海外は人員カットを行いやすいのも、日本と違い戦略に組織を合わせやすい大きな理由の1つです。

このように日本と海外ではシステムやITなどの、そもそもの使い方・制度が違うのです。

中小・零細企業はチャンドラー理論の方がおすすめな理由

とは言え、日本はアンゾフ型のほうがあっているとは言え、中小・零細企業では、チャンドラーの「組織は戦略に従う」を取る方がおすすめです。「組織は戦略に従う」方が、何事にもスピーディーに動けるので、経営が伸びていきます。

弊社でもこのチャンドラー型を実践しているデザイン会社の方がいます。「○○会社の案件が欲しい」という事で、その会社の案件を受注し、実際に制作できるスタッフを採用・配置しました。その結果、希望通りの案件に漕ぎ付け、採用・配置したスタッフで制作をこなす事ができました。売上も確保できています。

この企業がもしアンゾフ型の経営を取っていたら、企業からの案件は受ける事ができなかったでしょう。仮に受注できても一部だけで、現在のようにほぼすべてを継続的に受ける事はできなかったでしょう。

上記の事例絡みてもわかるように「仕事に合わせて組織を変える」事はとても重要です。もちろんこれは大企業では易々とできる事ではありません。組織を簡単に動かすことが難しいですから。ですが、中小・零細企業は組織を比較的動かしやすいのです。だから、チャンドラー型を取るべきなのです。

大企業もベンチャー企業を立ち上げ、そちらでは「組織は戦略に従う」理論を取っていますので、小規模の会社ほど積極的にチャンドラー型を取り入れられるということでしょう。