苦労して就職したのに辞めたくなるのはなぜ?
今や離職率は3年で30%と言われています。中小企業ではもう少し上がってしまいますが、なぜせっかく就職したのに辞めたくなるのかを今回は考えてみましょう。
坪内寿夫氏の考える、仕事を好きになる方法
私の尊敬する経営者に坪内寿夫さんという方がいます。四国の大将と呼ばれ、四国内での映画館を大盛況へと導き、オリエンタルホテルを始めとして様々な企業の再建を行った方です。最後はクーデターで退任へと追い込まれてしまいますが、その際に自分を追い出した来島どっくという企業へ私財を約280億円拠出しました。世界中を探してもここまで私財を投げうって企業再建を目指す方はなかなかいないのではないでしょうか。
その坪内寿夫さんが語っていた言葉に「努力して上手くなるから楽しい」というものがありました。奥道後にある記念館に立ち寄らせていただいた際、インタビューが掲載された雑誌に「スポーツもゲームも最初はみんな下手くそで、いきなり上手にはできない」「こうすれば良い・ああすれば良いが分かるようになって、上手になってきたら楽しくなる」と書かれていました。
もちろん大谷翔平などのトッププレーヤーになるとプレッシャーなど別の問題が出てきますが、普通の人にとってはこの「上手くなれば楽しい」はとても大事な考えではないかと思います。
仕事をゲームで例えて考えてみる
例えばフォートナイトなどの対人ゲームも最初は操作方法もよく分からず、どこから敵がくるのかも分かりません。マッチングの際に上級者と遭遇してしまう事もあります。初心者のうちは勝つ事はなかなかできません。
しかしそこでつまらないと投げ出さずにプレイを重ねる事で、どこで何をどうしたら良いのかを理解していき、最終的に勝利へとたどり着きます。最初で投げ出すと勝つ事はありませんが、少しの我慢と工夫を重ねることでコツを掴み、楽しさを見出していく事ができます。
これは新入社員にも言える事で、入社して1~2ヶ月目が楽しくないのは当然です。できる事が少ない、もしくは何もできないので楽しさを見出す事は難しいです。私の周りでも「何もできない事が面白い」と言う人には会った事がありません。そこで投げ出さず「まあとりあえずやってみるか」くらいの気持ちで続けると、仕事への慣れや人間関係構築のコツを得て楽しくなってきます。
よく世間では「3年で30%の人が辞めてしまう』と言われます。実はこれもゲームに例える事ができます。私自身もフォートナイトをプレイした事がありますが、操作になれてくるとそこそこ勝てるようになります。最初は楽しかったプレイも続けるうちに、同じ作業の繰り返しになり、飽きてきてしまいます。イベントやスキン変更などもありますが、どこかで飽きてしまいます。すると他のゲームに目移りしてしまうのです。
仕事も同じで2年3年と勤めていれば仕事も覚えて、自分のやらないといけない事も分かります。1人でできる事が多くなりますし、「秋にはこれ」「春にはこれ」と時期ごとの変化も覚えます。すると同じ作業の繰り返しになり、数年先が読めるようになります。そんな時に別企業の話や投資家の話を聞くと魅力的に見えるのは当然です。慣れて飽きてきて、辞めたくなるのも実は当然なんです。
仕事を続けてもらう為に企業ができる事
さて、働く側ではなく雇用する企業側から見てみましょう。企業側でできる事というのは限られていて、「早めに覚えられる仕事を与えること」「楽しいと思ってもらうまでのスパンを短くする事」、そして「新しい事を仕事を任せて飽きさせない事」です。
ただ、どんなに企業努力をしても離職者をゼロにする事はできません。どんなに面白いゲームでも飽きない人・やめない人がいないのと同じで、どんなに魅力的な仕事でも辞める人は必ず出てきます。なので、離職はゼロにできないことを前提として「このあたりまで離職率が下がれば良いな」という目標を作る事が大切ではないでしょうか。