ブランド論からヒントを得る!中小企業必須の差別化戦略

ブランド論の話は以前の動画でもお話しました。

ブランド戦略では自社の商品・サービスを販売しようとしてはいけない

マーケティングと並んで語られることが多いのがブランディングもです。よく聞くワードですが、いまいちどういうものなのか分かりにくい部分も多いです。そこで今回は基礎…

今回は前回のブランド戦略でお話していなかった、「ブランド構築に関するお話」を中心に、改めてご説明したいと思います。

中小・ベンチャー企業は差別化戦略しか取れない

ブランド戦略を考えるにあたって、デビット・A アーカー氏の著書は外せません。この本にはブランド論の基礎から、勝つ方法まで記載されています。さらに、そもそもブランドを考える方法についても記載があります。ブランド構築の着想といった項目になります。ブランド構築のお話ですが、実はこの話は差別化戦略につながります。

今までも差別化の話をしてきましたが、なぜ差別化が必要なのでしょうか。それはベンチャー企業や中小企業にはそれしか方法がないからです。大企業のように、資本力を元にして行うコストリーダーシップ戦略は行うことができないのです。

例えば、マクドナルドやユニクロは徹底的な合理化・標準化を行っています。マニュアル通りに行えば、一定のアウトプットが出せるようになっています。更に規模の経済が働きます。大量に仕入れることで、単価を下げて、コストダウンが行えたり、物流費用を割引してもらうなども可能です。さらに、最も安い地域で生産を行うことができる、グローバルな調達力は、中小企業にマネできるものではありません。

上記の事情を考えると、中小企業には差別化戦略しかとる事はできないのです。

ブランド構築の着想をヒントにした差別化戦略

先述のデビット・アーカー氏の著書では、ブランドを構築するためにどのようにかんがえればよいかのヒントが書かれています。ブランド構築の着想が6つ紹介されているので、ご紹介します。

  • 1つ目…外部のロールモデル
    別業種・別職種の成功例・失敗例を参考にする方法です。
  • 2つ目…ブランド・タッチポイント
    すでに自社の商品を使っている顧客に「なぜ選んだのか」「どこが気に入っているのか」などをヒアリングし、そこから新たなブランド構築につなげます。
  • 3つ目…顧客の動機と未対応のニーズ
    こちらは2つ目と少しにていますが、どう商品を使っているのかを聞く事です。実は顧客によっては、本来の使い方とは違った使い方をしていることもあります。しかもその評判が良い場合は新たなブランドになりえます。
  • 4つ目…好機を素早く見極める
    外部の変化に対して、柔軟に対応・変化する事です。外部に合わせることがブランドになっていく事もあります。
  • 5つ目…既存資産の活用
    例えば今まで行ってきた電話営業で追加で他のものを売る、余っている会議室でイベントを行うなど、今あるものを活用する事です。

顧客のスイートスポットをついて、共通利害を生む

そして6つ目が、顧客のスイートスポットです。顧客のスイートスポットが最も強烈なブランドを生むヒントになります。これは、顧客が興味や情熱を持つ分野のパートナーになる事・顧客との共通利害を生むアイデアやプログラムを作る事を指します

具体例を上げると、パンパースのコミュニティサイトが挙げられています。パンパースは知っての通り、幼児向けのおむつを販売しています。しかし、幼児が自分でおむつを購入する訳ではありません。買うのはもちろん育児中の両親やその家族・親戚などです。そこで、パンパースは、育児中の人に向けたコミュニティサイトを作りました。そこで育児に関する質問をプロが回答をしたり、他のユーザーとのコミュニケーションができたり、セミナーやイベントを開催する事で、顧客とパンパースの強いつながり「共通利害」を作る事に成功しました。

また、ボディソープなどを販売するダヴの例も非常に興味深いでしょう。まず、自分の顔を自分で説明し、似顔絵のプロに描いてもらいます。また、他人に自分の顔を説明してもらい、描いてもらいます。2つの似顔絵の比較をすると、他人が説明した絵の方が綺麗に描かれていたそうです。つまり、自分が想定している自分よりも、他人から見た自分は綺麗だという事です。これに参加や共感をした人も、ダヴと強いつながりを持ちます。

このように、この商品・ブランドが良いと押し出す「ブランド選考競争」ではなく、顧客の興味や情熱に寄り添う事で、顧客とのつながりは強くなり、ブランドが構築されます。中小企業は差別化を行うしか生き残ることはできません。ブランド構築のヒントから、差別化を考えることをおすすめします。