ブランド戦略では自社の商品・サービスを販売しようとしてはいけない

マーケティングと並んで語られることが多いのがブランディングもです。よく聞くワードですが、いまいちどういうものなのか分かりにくい部分も多いです。そこで今回は基礎に触れながら、「ブランディングとは?」のお話をしたいと思います。

既存のブランディング施策はほとんどが「ブランド選考競争」

まず一番最初にブランド戦略で抑えておかないといけないのが、ブランド論の大家と言われるデビット・A・アーカー氏です。

デービッド・A. アーカー: 本

そしてそのアーカー氏は曰く、既存のブランディングに関する施策はほとんどが「ブランド選考競争」だと言います。

ブランド選考競争とは「より安く・より早く・より良く」という、既存のカテゴリ内で他社より目立ち、選ばれるための施策です。現在でもブランディング施策を行う業者のほとんどが、このブランド選考競争タイプの施策を行っています。

もちろんブランド選考競争が悪い訳ではありません。アーカーも著書でブランド選考競争がダメだと言っているのではなく、「つまらない」と言っているに過ぎません。

サブカテゴリをマストハブにする

では何をすればよいのでしょうか?アーカーは「サブカテゴリをマストハブにする事」だと言います。簡単に言うと、既存のカテゴリの下にサブカテゴリを作り、その中で一番に選ばれることです。そして、マストハブはその商品・サービスがなければサブカテゴリそのものが成り立たなくする、という事になります。

具体例で言うと、アサヒスーパードライがこれに当てはまります。昔、ラガービールが主流だった中で、アサヒのみがラガービールのカテゴリから出て、ドライビールというサブカテゴリを作りました。すると顧客から支持を受け、一気に市場は拡大しました。ドライビールはその後、サントリー等も後から参入しました。ですがすでに、「ドライビールと言えばアサヒ」という印象ついており、あまり売れませんでした。

他にもプリウスの開発・DELLのBTO式販売・無印良品・ワンダモーニングショットなど、サブカテゴリをマストハブにする事で成功している例は多数あります。このように、既存のカテゴリの下に新しいカテゴリを創出する事が、ブランディングでは重要になるのです。

ちなみにこれはマーケティング的には、STP(セグメント・ターゲティング・ポジショニング)戦略の練り直しに当たるでしょう。

商品ではなく、サブカテゴリを販売促進する

しかしこのサブカテゴリでも注意点があります。ブランド選考競争のように、自社商品がを宣伝しないことが重要です。あくまで広めていくのは、創出したサブカテゴリです。

例えば前述の例を1つ取ると「小型ハイブリッド車はこんなに良いんですよ」とプロモーションし、「プリウスのここが良いですよ」という宣伝はしない、といった形です。サブカテゴリを選ぶ人が増えれば、自ずとプリウスを選ぶ人が増え、結果的に先行者利益を得る(エグゼンプラー(代表者))になる、という流れになります。

検索エンジンならGoogle、スマートフォンならiPhone、ファストファッションならユニクロ。サブカテゴリのイメージをしっかりと完成させる事で、大きな利益を得る事ができます。これがデビット・A,アーカーが提唱するブランディングなのです。

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