無理に若い人についていく必要はない。ターゲットは「30代〜50代」

お笑いファンの間で話題になった「有吉の壁」のレギュラー放送終了ですが、この番組のコア視聴率(10代〜49歳)は好調だったそうです。それでも終了が決まった背景には、50代以上の視聴率がほぼゼロだったと有吉さんがラジオで語っています。

企業でも個人でも「若い人についていかないといけない」「若い人に受けないといけない」と考えている方は多いと思います。ただ、ビジネスとして考えるなら、必ずしもそうではありません。

コア視聴率は「言い訳」として使われてきた

そもそも「コア視聴率」という言葉が使われるようになった背景には、テレビ局側の事情があります。全体の視聴率が振るわないときに「全体は低いけれど、若い世代にはこれだけ見られています。だからスポンサーとして有効ですよ」と説明するための材料として使われてきた側面があると言われています。

ところが今回、コア視聴率が好調だったにもかかわらず番組が終了しました。これはスポンサー側も含めて、やはり全体の視聴率が重要だと考え直し始めているということではないでしょうか。「全体が悪くてもコア視聴率が良ければいい」という時代は、そろそろ終わりつつあるのかもしれません。

テレビ局が狙うべきは10代・20代ではなくなった

そもそも今の時代、テレビ局が10代・20代を狙っても得るものは多くありません。理由は2つあります。

ひとつは、そもそも若い世代がテレビを見ていないこと。もうひとつは、単純に人数が少ないことです。現在、人口ボリュームが大きいのは団塊の世代と呼ばれる70歳前後の層、そして団塊ジュニアと呼ばれる50歳前後の層です。視聴率という意味での人口の大部分は、こうした世代が握っています。

では、10代・20代ではなく、70代を狙えばいいのかというと、そうとも言い切れません。年齢層が高くなるほど、行動する・消費するという割合が減っていくからです。CMを打っても費用対効果が悪く、効果的な施策とは言えないでしょう。

30代〜50代が最も費用対効果の高い層である

その点、30代から50代くらいの層は、消費もするし行動もします。だからこそ企業がCMを出したときのコストパフォーマンスが良くなるのです。テレビ局としても、この層を狙ったほうがスポンサーを集めやすいという判断になります。

「若者の〇〇離れ」という言葉が繰り返し使われてきましたが、車にしても家にしても、若い世代の購買力が相対的に低いのは事実です。これは若い人たちのせいではなく、若いうちは給料も安いし、経済的な基盤がまだ弱いという構造的な問題です。

だからこそ、広告を打つのであれば余力のある層を狙うべき、というのは当たり前の話でもあります。

SNSで若者に届けるのも「フィルターバブル」で難しい

若い世代に届けたいなら、テレビCMよりもSNS(主にTikTok)が効果的です。ただ、ここにも壁があります。「フィルターバブル」です。

たとえば女性アイドルの投稿は、アイドル好きな10代の女性には表示されやすい一方で、アイドルに興味がない10代の男子高校生には回ってきません。もちろんアイドルに興味がない40代の男性にも届きません。アルゴリズムがユーザーの興味関心を判断して、関心がある人にだけ配信する仕組みになっているからです。

つまり広告以外の形でターゲットとなる若い層に届けようとすると、その層の話題に乗っかる必要があります。しかも乗っかったとしても、カテゴリーが細分化されているために、届く範囲は数万人程度にとどまります。何百万人に見てほしくても、そのためには別の話題で別のコンテンツを、と手を変え品を変え大量に投入し続けなければなりません。

結果的にSNS施策に疲弊してしまう、というわけです。

ビジネスとして、若者受けは労力に見合わない

ここまでを踏まえると、ビジネスとして若い人に受けようとするのは、かなり労力に見合わない取り組みだと言えます。個人が10代の若い人たちに好かれたくて努力するのは自由ですが、事業としてやるなら話は別です。

ビジネスとしては若者のトレンドワードを必死に覚える必要もありません。それよりも、お金を使う30代・40代の働き盛りの世代に対して、広告を打って、商品・サービスを届けていくのが基本になるのではないでしょうか。

現役世代に刺さるヒントは「テレ東音楽祭」にあった

では、30代・40代・50代の現役世代に刺さるコンテンツとはどんなものでしょうか。ひとつのヒントが、先日話題になった「テレ東音楽祭」です。TVerの再生回数が前年の4倍にもなったそうです。

(参考:攻めて話題、外して話題。「テレ東音楽祭」と「隅田川花火中継」が示したテレビ東京の"やってみた"の強さ #エキスパートトピ(中西正男) - エキスパート - Yahoo!ニュース

この番組では、他局の名作ドラマの出演者が登場し、その主題歌を披露する歌手を見守るという、少し変わった演出がありました。

  • 「懐かしい」
  • 「この人まだこんなに元気なんだ」
  • 「少し老けたな」

——昔その作品を見ていた世代にとっては、こうした感情が湧いてくる仕掛けです。

懐かしさやノスタルジーを上手に見せてファン化させる。これも現役世代にアプローチする一つの手だと言えるでしょう。

まとめ

  • 「有吉の壁」はコア視聴率が好調でもレギュラー放送が終了した
  • コア視聴率は、全体視聴率が低いときの説明材料として使われてきた側面がある
  • 10代・20代はテレビを見ておらず、人数も少ない。購買力も相対的に低い
  • 消費も行動もする30代〜50代が、最も費用対効果の高い層
  • SNSで若者に届けようとしてもフィルターバブルで細分化されており、労力に見合わない
  • 現役世代には「テレ東音楽祭」のような懐かしさ・ノスタルジーの見せ方が一つのヒントになる

テレビ局のやり方が良い・悪いという話ではありません。ビジネスとしてやっていくのであれば、お金を使う層に対して広告なりターゲティングなり営業なりをやっていくしかない、というだけの話です。

自社のターゲット設定を見直すきっかけにしていただければと思います。

投稿者プロフィール

松本 孝行
松本 孝行代表取締役
兵庫県伊丹市出身

2006年、立命館大学経営学部卒業後、パソコンソフトの卸売会社、総合商社子会社に就職し、2008年に独立。

2011年頃からSEO対策・アフィリエイト用の文章制作から、独学でリスティング広告やアクセス解析、SNS広告などを学び、サービスを展開。

短期大学の情報処理講師や職業訓練校のWebサイト制作クラス・ECマーケティングクラスなどで講師を担当。

現在は株式会社キヨスル代表取締役として、Webマーケティングをデザインすることでクライアントのビジネスに貢献する。
Web広告の無料診断・セカンドオピニオン(横長)