世界で進む「子どものSNS利用規制」。各国の動向とマーケター視点で考える問題の本質
最近、世界各国で子ども(未成年)のSNS利用を制限する法整備が急速に進んでいます。イギリスは2027年春にも禁止する方針と報道されています。
広がる子供のSNS規制、英は親の9割賛成 先行の豪は年齢確認に穴 - 日本経済新聞
世界は規制の流れになっていますが、日本はどうなのでしょうか?各国のSNS規制の現状と日本の対応、そして「規制のあり方」についてマーケティングの視点から考えてみましょう。
世界で広がるSNS規制と日本の対応
現在、欧米を中心とした多くの国で、子どものSNS利用に対する法的な規制が検討・実施されています。
- オーストラリア: 2025年から16歳未満のSNS(X、Instagramなど)やメッセージアプリの利用を法的に禁止
- アメリカ: ユタ州ではアカウント作成に保護者の同意を必須とし、フロリダ州では保護者が子どものアカウント削除を要求できるなど、州ごとに対応。
- その他の地域: UAEやフランスなどでも15歳未満の利用禁止などが進められている。
SNSが規制される主な背景には、SNS依存によるメンタルヘルスへの悪影響、いじめに繋がる可能性、暴力・性的なコンテンツへのアクセス、そして位置情報や学校名が特定されることによるプライバシーやストーカー被害のリスクなどから子どもを守るという立て付けです。。
一方、日本の現状としては、海外のような「一律の年齢制限」は見送られる方向で議論が進んでいます。その代わり、プラットフォーム事業者に対して「年齢確認の厳格化(マイナンバーカードや免許証の活用など)」を求める方針へと舵を切っています。
一律に規制しても「抜け道」は存在する
国主導でツールの利用を禁止する動きが活発ですが、それだけでは完全に子どもを被害から守ることはできないでしょう。
例えば、上記日経新聞の記事によると、オーストラリアで規制が始まってから行われたアンケートで、12〜15歳の約6割が依然としてSNSアカウントを持っていたというデータがあります。 過去を振り返っても、酒やタバコ、ギャンブルなど禁止されたものに対し、抜け道が必ずありました。現在では生成AIを使って簡単に抜け道を検索することもできるため、ツール自体を遠ざけたとしても、限界があるでしょう。
また、子どもだけでなく、大人自身がSNSを正しく使えているかという点にも疑問が残ります。投資詐欺や闇バイトの募集、違法なやり取りなど、大人による悪質なSNS利用も社会問題ではないでしょうか。
マーケター視点で考える「ドリルと穴」の法則
このSNS規制の問題について、マーケティングで有名な「ドリルと穴」の法則を当てはめて考えてみます。
「顧客はドリルが欲しいのではなく、穴が欲しいのだ」というこの法則を今回のテーマに置き換えると、以下のようになります。
- ドリル = SNS(ツール)
- 穴 = 子どもたちが巻き込まれる被害や犯罪(結果)
上記のように考えると、ドリルであるSNSを規制するのはマーケティング的な本質ではありません。本当に私たちが防ぐべきなのは、ドリル(SNS)を使うこと自体ではなく、穴(被害)が生じること、こちらにフォーカスすべきではないでしょうか。
まとめ:悪意のある「投稿側」を防ぐ仕組みへ
ツールの一律禁止は、一見すると分かりやすい解決策に思えます。しかし、本質的に目を向けるべきは、子どもたちが被害に遭うような「悪意のある投稿を行う側」の規制や、犯罪の温床となる仕組みそのものをどう防ぐかという点ではないかと思います。
マーケティング的な視点で考えると、SNSの規制というのは本質的ではない様に思います。
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