働くとはなんなのかを考えてみる

今回はラジオ配信10回記念という事で少し普段とは違った「働くとは何か」を考えるお話をしたいと思います。話題になったはてな匿名ダイアリーの投稿、「40代女性、転職ができない」から考えてみましょう。

キャリアは日々、狭まるようにできている

40代女性が「転職先が決まらない」とはてな匿名ダイアリーにした投稿。私も拝見しましたが、例えば看護師や介護士といった資格を持つような人でなければ40代女性で転職というのは非常に大変だと思います。もちろんこの投稿をされた人が実はそういった資格を持っているかもしれません。そこまでの詳しい記載はなかったのでおそらく事務職かなと推察をして話しますが、実際問題厳しいですね。

人のキャリアというのは基本的に積み重ねが大事であると同時に、どんどん狭まるようにできています

人は生まれた時は可能性が無限にありますが成長するにつれて、苦手な事や得意な事が出てきます。例えば勉強が得意といっても、数学が得意な人は理数系にいきますし、国語が得意な人は文系にいきます。そういう風に、生きていくと自然と得意不得意が生まれて自分に出来る事が狭まっていきますよね。子供の頃、「野球選手になりたい」と思っていてもどこかのタイミングで「野球選手にはなれない」と思い知る、そんな経験は誰しもあるでしょう。そしてこれは日本に限った事ではなく、万国共通なんです。

一番最初に身につけたスキルが大事

ではどうすればいいのか?と考えた時、私は一番最初に身につけたスキルが大事だと思います

例えば高校を卒業後に土木関係の仕事に就いた人はそのまま土木関係の仕事を続ける人がほとんどです。自動車整備工だったら自動車関係に就職してそのまま続けます。このように最初に身につけたスキルというのは今後の人生を大きく左右するものです。

転職経験がある人はよく分かるかと思いますが、このスキルを経て積み重ねたキャリアは歳を重ねるほど、方向転換が難しくなります。例えば50歳まで医者をしてきた人が51歳から営業職をしようとするとおそらく無理でしょう。ノウハウやスキルがないというのはもちろんですが、今まで積み重ねてきたスキルやキャリアを活かさないというのは、ゼロからのスタートになります。

歳を重ねてからのゼロからスタートする人を雇ってくれる所はなかなかありません。これも日本に限った話ではなく万国共通です。昔ウィル・スミスがホームレスになったのちに成功を掴む主人公を演じた「幸せのちから」という実話を元にした映画がありました。あの映画のようなことは本当に奇跡でしかなく、現実では夢半ばで諦める人がほとんどです。それくらい、キャリアを転換させる事はとても難しいんです。

ではずっと同じ事をし続ける事がいいのかと言われるとこれもまた難しくて、例えば印刷会社が紙からどんどんウェブへとシフトしている中で、昔と同じような印刷だけをやっていればいいとはなりません。

働く事に意味を持たせ過ぎない

そうして働き方を考えた時に私は以前に読んだ「東京タクシードライバ」という本を思い出しました。色んな事情を抱えてタクシードライバーに転職してきた人達を描いた作品なんですが、登場人物は誰も鬱屈としていなくて今を一生懸命に生きていました。そしてこのタクシードライバーのキャリアというのはすごくいい例で、一般的なプロジェクトをこなしたり売り上げを上げたりで出世を目指すものではありません。タクシードライバーの皆さんは、今を生きる為に働いています。

このすごくシンプルな生き方が「働くとはなんなのか」を考えるヒントになるんじゃないかと思います。どうしても人は今までのキャリアや成功にしがみつきたくなりますが、そこを一度取り払って「生きる為には何をしようか」と考えてみるのが大切ではないでしょうか。

日本では働く事に大きな意味を持たせがちですが「生きる為に働く」という風に考えてみると、選択肢は広がってくると私は思います。