あえて「不便」を選ぶ消費者たち。機能競争から抜け出すこれからのビジネス戦略
便利で多機能なものは顧客に選ばれやすい、そう思っていませんか?実は必ずしも多機能な商品が顧客に選ばれるとは限らない時代になっています。良かれと思って機能を追加したり選択肢を増やしたりすることが、結果的に顧客を遠ざけてしまうことも少なくありません。
不便なのになぜ選ばれるのか?その部分にビジネスのヒントがあるかもしれません。
若者が「不便なカメラ」に熱狂する理由
高画質でいつでも写真が撮れるスマートフォンが当たり前にある中で、「写ルンです」や「チェキ」といったアナログなカメラが人気を集めています。これらは画質が粗く、撮影した写真をすぐに確認することもできず、現像するまでどんな風に撮れているか分かリません。また、購入するにもコストがかかります。スマートフォンンで撮影することと比べると、圧倒的に不便です。
(参考:富士フイルム「写ルンです」が再ブーム “あえて待つ”でタイパ世代に脚光:日経ビジネス電子版)
しかし、その「現像を待つ間のドキドキ感」や、ノスタルジックでエモい仕上がりが、デジタルにはない特徴があります。そしてその特徴を若者が「価値がある」と感じて、お金を払ってまで手にしているのです。
こうした「あえて不便を選ぶ」現象はカメラだけのものではありません。
不便だけど支持される商品
- 準備や片付けに手間がかかるキャンプ
- サブスク全盛期に売上を伸ばすアナログレコード
- ミッション操作を楽しむ旧車
- デジタル時代に根強く支持されるアナログ手帳
このように、非効率で不便な体験そのものを楽しむために、多くの人が好んでお金を支払っています。
多機能と選択肢が引き起こす「決断疲れ」
ビジネス側は「機能が多い方がいい」「選択肢が多い方が顧客は喜ぶ」と考えがちです。しかし、不便なものが選ばれることも現実にはあります。
ここで一つ事例として、心理学の有名な「ジャムの法則」を見てみたいと思います。2000年に米国で行われた実験です。ある雑貨店で、ジャムを販売しました。一方は24種類のジャムを並べて販売し、もう一方では6種類のジャムを並べて販売しました。
24種類のジャムを販売した時は60%の人が関心を示したものの、購入に至ったのはわずか3%でした。一方、6種類のジャムの販売の際は関心を示した人は40%に減りましたが、購入率は30%に跳ね上がったのです。
この実験から、消費者は選択肢が多すぎると「決断疲れ」を引き起こし、購入後に「別の味の方が良かったかも」と後悔しやすくなるためだと言われています。
(参考:マーケティングにおける「ジャムの法則」とは? – 消費者を決断疲れから救おう! | SILVER EGG TECHNOLOGY)
また、シンプルなメモアプリとして大人気だったEvernoteも、マネタイズの過程で有料プランに次々と機能を追加しました。その結果、動作が重くなりユーザー離れを引き起こした事例として知られています。
(参考:なぜ多機能すぎるアプリは失敗するのか?|アプリ開発研究所)
選択肢が多いことや多機能であることは、必ずしもユーザーは支持しないし、場合によっては購入をためらうことがわかっています。
不便でも選ばれているのは「価値」があるから
機能の多さや便利さは、実はビジネスを成功させる上での副次的な要素に過ぎません。重要なことはその商品やサービスに「価値」があるかどうかです。そしてその「価値」というのは消費者が決めるもので、販売する側が消費者に押し付けることは出来ません。
どんな部分に対して消費者が価値を感じるかははっきりとはわかりませんが、「きっと消費者に支持されるはず」斗思って、多機能にしたり選択肢を増やしたりするのだけは、やめておいたほうが良いかもしれませんね。
投稿者プロフィール

- 代表取締役
-
兵庫県伊丹市出身
2006年、立命館大学経営学部卒業後、パソコンソフトの卸売会社、総合商社子会社に就職し、2008年に独立。
2011年頃からSEO対策・アフィリエイト用の文章制作から、独学でリスティング広告やアクセス解析、SNS広告などを学び、サービスを展開。
短期大学の情報処理講師や職業訓練校のWebサイト制作クラス・ECマーケティングクラスなどで講師を担当。
現在は株式会社キヨスル代表取締役として、Webマーケティングをデザインすることでクライアントのビジネスに貢献する。





