炎上すれば必ず謝罪しなければならない、わけではない
ここ最近、X上でミツカン社が謝罪する炎上案件がありました。「冷やし中華なんてこれだけでも十分美味しいです」という文章と麺だけの冷やし中華に冷やし中華のタレが写った写真ですが、これが炎上しました(「冷やし中華なんてこれだけで……」 なぜミツカンはSNSで炎上したのか 味の素“冷凍ギョーザ”の成功事例との差は - ITmedia Mobile)。
なぜこのような状況で炎上し、謝罪まで進んでしまったのでしょうか。
Xで度々燃え上がる男女論
実はXでは度々男女論が盛り上がっています。男が悪い、女が悪い、男のここが嫌い、女の子ここが嫌い、男性はこういうところが優遇されている、女性はこういう優遇を受けている…そういった男性・女性のやりあいがずっと行われています。そしてたまにそれが大きく盛り上がって炎上のようになります。
ちょうどミツカン社が投稿していたとき「そうめんを作るのは重労働なのかどうか」という話題が沸騰していました。様々なユーザーが参加して、あーだこーだと意見をぶつけていたのです。そんなときに「冷やし中華なんてこれだけでも十分美味しいです」と投稿したことで「主婦の労働を馬鹿にしているのか!」と炎上してしまったのです。
男女論はいつでも行われているので、それに付随する投稿は燃えやすいと言えるでしょう。
炎上は売上に影響するのか?
さて、ミツカン社をはじめとして、企業として気になるのは炎上したときの業績についてです。炎上すると売上が落ちる、顧客が離れるといったイメージを持つ人は少なくありません。そもそも炎上が話題になり始めたのが、コンビニでアルバイトの男性がアイスの冷凍庫の中に入ったことがありました(ローソン店員、アイス冷凍庫に横たわる 写真公開で店は休業に - 日本経済新聞)。この炎上によってこの店舗はローソンとのフランチャイズ契約を解除され、休業するに至りました。
つまり、炎上が社会問題になり初めた頃は、休業するほどにまで売上が落ちていたのです。だからこそ、今も炎上すると業績が悪化するのではないか、そう考えてすぐに謝罪をするのだと思います。ただ、ここ最近は炎上したとしても、全く売上に影響しない事例も出てきました。
それが赤いきつねのCM騒動です。ネット上で赤いきつねのアニメーション動画を公開すると、女性キャラが性的で不快であるという声がX上で現れました。それに対して、反論する人が多く表れて大きく燃え上がったのです。赤いきつねの販売元である東洋水産は特にこれについてはコメントせず、1〜2週間ほどで炎上は収まりました。
この炎上騒動を受けて、東洋水産の業績はどうなったのでしょうか。「2025年上期No.1炎上「赤いきつね」の売れ行きは? CM動画の損得:日経クロストレンド」という記事で紹介されていますが、販売へのマイナスの影響はまったくなかったとされています。逆にプラスの影響もありませんでした。
当初は炎上=業績に悪影響でしたが、今では炎上をしても影響がない場合も出てきています。
炎上で謝罪すべきかどうか?
炎上案件になってしまった場合、すぐさま謝罪することで炎上を鎮火していたかと思いますが、赤いきつねの件で流れは変わりつつあります。実際に炎上した場合に、企業は謝罪すべきなのでしょうか?
まず、炎上につながるクレームは本当に正しいのかどうか、検討する必要があります。昨今では「カスハラ」的な言動も多く見受けられます。SNS担当者を守るためにも、そのクレームが正当なものかどうかをきっちりと見る必要があります。場合によっては正当ではなければ、開示請求など戦う姿勢を見せる必要もあるかもしれません。
そして、炎上した場合はなぜ炎上したのか、その発端を見つけましょう。ミツカン社の件ではそうめんの騒動、そしてXで度々行われている男女論の言い合いが発端です。自分たちの投稿に非があるのかどうか、原点まで戻ってから確認しましょう。
最後に、東洋水産の件を参考にするのも重要です。赤いきつねで炎上したにもかかわらず、謝罪せずに乗り切り、そして販売に対してマイナスの影響を受けることはありませんでした。これも一つの結果として受け止めておく必要があります。
企業のSNS担当者・責任者の方は大変かと思いますが、頑張ってくださいね。
まとめ
- そうめん騒動とミツカンの謝罪
- 赤いきつね問題で出た「売上に影響しない」事実
- 謝罪すべきかどうか、よく考えた方が良い
投稿者プロフィール

- 代表取締役
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兵庫県伊丹市出身
2006年、立命館大学経営学部卒業後、パソコンソフトの卸売会社、総合商社子会社に就職し、2008年に独立。
2011年頃からSEO対策・アフィリエイト用の文章制作から、独学でリスティング広告やアクセス解析、SNS広告などを学び、サービスを展開。
短期大学の情報処理講師や職業訓練校のWebサイト制作クラス・ECマーケティングクラスなどで講師を担当。
現在は株式会社キヨスル代表取締役として、Webマーケティングをデザインすることでクライアントのビジネスに貢献する。
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