SNSのバズに騙されない。局所的なブームを見極め、データで裏を取るビジネス思考
日々のビジネスやマーケティングの現場で、「SNSで話題だから」「今これがブームだから」という理由で新しい企画や事業を進めようとしたことはないでしょうか。マーケティングに携わるなら覚えておきたいのが、「自分の『流行っている』という感覚は、単なる思い込みかもしれない」と疑う姿勢です。
私たちが陥りがちな「思い込みの罠」に陥らないようにするには、客観的なデータに基づいてビジネスの判断を下すことが重要です。
ネットの流行と現実のギャップ
私たちが「世間で流行っている」と思い込んでしまうのはなぜでしょうか。昨今では、インターネットやSNSでの盛り上がりによって「流行している」と思われることがあります。
例えば、朝の帯バラエティ番組である「ラヴィット!」をご存知でしょうか。この番組は、見逃し配信サービス「TVer」において4年連続でバラエティ番組賞を受賞し、SNSのX(旧Twitter)でも毎朝のようにハッシュタグがトレンド入りするなど、X上では圧倒的な人気を誇っているように見えます。
「ラヴィット!」4年連続「TVerアワード」受賞 麒麟川島「10年連続受賞を目指して精進します」(コメントあり) - お笑いナタリー
しかし、客観的なデータである「テレビの視聴率」を見てみると、実は1〜2%台という非常に低い水準にとどまっています。(※マスターズのゴルフ中継の直後だけ、テレビをつけたままにしていた層によって視聴率が跳ね上がったという例外はあったようです)。
数字だけで戦う時代ではない? 低視聴率でも「ラヴィット!」打ち切り説が全く出ない理由 | デイリー新潮
ネット上でどれだけバズっていても、世間全体がそれを見ているわけではない、という現実がデータから浮き彫りになります。
日本一見られているYouTube動画、知っていますか?
もう一つ、思い込みに気づかされる面白い事例があります。
Wikipediaには、「日本のYouTubeで最も多く視聴された動画」のランキングが掲載されています。数億回、十数億回と再生されている正真正銘の「日本トップクラスの動画」たちです。
日本の視聴回数の多いYouTube動画の一覧 - Wikipedia
しかし、このランキングの上位に並ぶ動画のタイトルを見て、皆様はいくつご存知でしょうか? 米津玄師さんの楽曲などは知っていても、それ以外の大半の動画は「見たことも聞いたこともない」という方が多いはずです。
再生回数が圧倒的に多いのだから、数字上は間違いなく「大流行」しています。それなのに、私を含めた周囲の人間でこれらの動画が話題に上がったことはありません。
現代の「流行」は、ごく一部でしか起きていない
これらの事例から分かるのは、現代において世の中全体を巻き込むような流行は、ほとんど存在しないということです。
かつて、テレビや新聞といったマスメディアが情報源の中心だった時代は、全国民が同じ情報を共有し、「全国的な流行」が生まれていました。しかし今は、情報を受け取る媒体が多様化しています。
- TikTokを見ている10代の男子学生
- Instagramを見ている30代の主婦
現在の流行は「特定の属性を持った、ごく一部の狭いコミュニティの中だけ」で起きる局所的なブームになっています。上記のように10代の男子学生の中で流行していたり、30代の主婦の間で流行していたり…といったように局所的なのです。
日本の人口約1億2000万人が一斉に同じものを見て、同じ様に知っているなんて言うことはないのです。
思い込みを捨て、客観的な「データ」で裏を取る
この局所的なブームを「世の中全体の大流行だ」と勘違いしたまま、ビジネスの判断を下すのは非常に危険です。タピオカブームなどに安易に乗っかって事業を始め、失敗してしまうケースはその典型と言えます。
マーケティングや事業戦略に携わるのであれば、自分の肌感覚やSNSの声を鵜呑みにせず、必ず「客観データで裏を取る」癖をつけるのがよいでしょう。
- オンラインアンケートを実施して、本当の認知度を調べる
- 視聴率や再生回数などの具体的な数値を確認する
- 総務省などが発表している公的な統計データを参照する
誰が見ても「良い・悪い」が判断できる絶対的な数値を元に、ゼロベースで考えることがマーケターには重要です。思い込みを排除するトレーニングを重ねて、マーケターとして正しい判断を下すことが、ビジネスを成功に導くための第一歩となるのではないでしょうか。
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