広告費を使わなければ利益が増えるのか
先日Xにて、『広告費、使わなければ、純利益』という投稿がありました。これを聞くと、「広告って意味ないの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
広告費と利益の関係性など、ある程度わかっているとこの発言の意図がわかるかと思います。
会社のお金の流れから見る「広告費」と「純利益」の関係性
まず、会計の視点から広告費の位置づけを整理します。企業が計上する利益は「売上からコストを引いたもの」で計算されます。
売上 −(仕入れ費用+販管費)= 利益
ここで大事なのは、広告費が「販管費」というコストの枠に入っている点です。
例えば、以下のケースを考えてみましょう。
売上が全く変わらない(売上を1,000万円で固定)前提で、利益が200万円出ているという事例で考えてみます。もし、広告費を200万円削ることで、利益は倍の400万円になります。これが「広告費を使わなければ純利益」という言葉の意味になります。
ただ、ここで疑問を持つ方も多いかと思います。「広告が売上に全く影響していないのか?」という点です。広告費を削っても売上が変わらないケースが実際には存在します。
広告費は売上の増減に関係しない?。
広告費を削っても売上が変わらない、つまり利益が増えるという現象は、その広告費が売上の増減に「直接」貢献していない場合に発生します。以下のような間接的な貢献が中心となる広告(主にアナログ広告)は、効果測定が難しく、売上に直結しているのかが不透明になりがちです。
間接的な貢献が中心となる広告(主にアナログ広告)の例
- イメージアップのためのYouTube動画制作
- 幅広く集客する合同セミナーイベント
- タクシー広告、ビル広告、テレビCMなど
- チラシやポスターなどの紙媒体
これらの広告の主な目的は、認知度向上やイメージアップのために行われます。
もちろん、ブランドのイメージを上げることは長期的に見れば大切ですが、短期的に「今月の売上にどれだけ貢献したか」を定量的に計測することが、こういった広告宣伝では困難です。
そのため、もし企業が「予算が余っているから」「競合もやっているから」というような理由で、効果測定が曖昧な広告にコストを投じている場合は広告費を削っても、売上が変わらずに結果的に利益だけが増える、という状況が生まれる可能性もあります。
「広告費を使わなければ純利益」という言葉は、このように費用対効果が不透明な広告費が、無駄に利益を圧迫している状況を指摘しているものと考えられます。
デジタル広告はほぼすべての数字がわかる
一方で、デジタル広告は、利益に対する貢献の性質が大きく異なります。デジタル広告は、計測が容易であるため、広告費を「投資」として捉え、売上への貢献度を把握できる場合がほとんどです。どの広告が、どのユーザーを連れてきて、いくらの売上や何件のリード(資料請求や問い合わせ等)に繋がったか、すべてデータで追うことができるからです。
貢献度が明確なデジタル広告の例
- ECサイトの広告(Google検索広告、ショッピング広告など)
- B2Bの資料請求・問い合わせ広告(リード獲得)
- Meta広告からのリード獲得数
もし、このような広告を削った場合、確実に売上も減りますし、利益も減ります。売上に貢献しているデジタル広告を削ると、売上・利益が減少するのは当然です。デジタル広告は、売上に直接貢献しているため、効率の良い広告費を削ると利益が下がります。この点が間接的な貢献が中心となる、4マス広告等との大きな違いだと言えます。
ただし、イメージアップや認知度向上を目的としたYouTube広告やInstagram広告については、貢献度がわからないことがあります。デジタル広告も全てが直接売上に結びつくものではありません。
まとめ
- 広告費を使わないと純利益になる?
- 広告費が売上の増減に関係しないものも多い
- デジタルの場合はほぼ貢献度合いがわかる
投稿者プロフィール

- 代表取締役
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兵庫県伊丹市出身
2006年、立命館大学経営学部卒業後、パソコンソフトの卸売会社、総合商社子会社に就職し、2008年に独立。
2011年頃からSEO対策・アフィリエイト用の文章制作から、独学でリスティング広告やアクセス解析、SNS広告などを学び、サービスを展開。
短期大学の情報処理講師や職業訓練校のWebサイト制作クラス・ECマーケティングクラスなどで講師を担当。
現在は株式会社キヨスル代表取締役として、Webマーケティングをデザインすることでクライアントのビジネスに貢献する。
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