大企業の生産性が中小企業より高い理由とは

生産性の高い業種と聞いて思いつく業種はなんでしょうか?実は業種によって生産性の高いものと低いものは決まっていて、高いものにも低いものにもその理由があります。

生産性の公式

中小企業庁が発表した業種ごとに労働生産性を発表したものがあります(参考:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/chusho/b1_2_2.html)。これを見るとまず目につくのが大企業と中小企業の差です。大企業の方が生産性が高いのが一目瞭然ですが、それは給料などで私たちの肌感覚でも感じられる事だと思います。そして次に目につくのが、サービス業の生産性の低さです。病院・飲食店・宿泊施設など生活関連サービス業の低さが目立ちます。逆に製造業や情報通信などは労働生産性が高くなっています。

労働生産性と労働構成比のグラフ

また、生産性という言葉はよく聞くものですが、実はその生産性を計算する公式があります。それが「利益÷労働投入量(労働者数×労働時間)」です。そしてこの公式から分かる事は、生産性を上げる方法は以下の3つしかないという事です。

  1. 利益を大きくする
  2. 同じ利益を少ない人数で上げる
  3. 同じ利益を短い時間で上げる

ただ、この労働生産性の公式は単純化されているもので、人数や働く時間以外にも関係しているものがあります。

生産性は「カネ」と「ブランド」も影響する

ではそもそもですが、大企業の方が生産性が高い理由とは何なのでしょうか?

宿泊施設を例に見ていきましょう。まず中小企業の場合は、資金が少なく広告宣伝をあまり行えません。資金がなければ、立地の良い土地を選べません。ITの活用も十分にはできないでしょう。対して大企業では、資金が多く広告宣伝を大々的に行えます。立地の良い土地を取得できるでしょうし、ITシステムを導入することも可能です。

つまりここから分かる事は、「労働者数×労働時間」ではなく、「労働者数×労働時間×資金力×ブランド」という公式がなりたつのです。これが同じ業種でも大企業の方が生産性が高い理由だと考えられます。同じ労働者と労働時間でも資金力とブランド力があれば、高い生産性が上げられるのは感覚的にもわかるのではないでしょうか。

しかしそうは言っても中小企業も生産性を高めないといけません。ではどうやれば生産性が上げられるのでしょうか。その一つが「大規模集約化」です。中小企業をどんどん減らして大企業になれば、生産性が高まります。基本的には大企業になればなるほど、使えるお金は増えてブランド力も上がりますし、IT化によりコストも下がります。昨今、農業や介護などではこの大規模集約化が必要だと言われているのは生産性を高めるためです。

ただ、現実問題として生産性を上げるために中小企業が集まって1つになるというのは難しいでしょう。たくさん集まれば集まるほど、誰が何をどうやって決めるのか、誰がトップになるのか、取り分はどうするのかなど、揉めることは間違いありません。ですので、中小企業が生産性を上げるには、個々人が努力するか、資金力をつけるか2つしかないのが現状ではないでしょうか。

需要が高いと生産性も高くなる

最後に生産性を上げるヒントになる事例をご紹介します。生産性の低いサービス業、例えば宿泊施設では、需要の高い時期と低い時期で価格の異なるダイナミックプライシング(参考:ダイナミック・プライシング - Wikipedia)を採用している所がほとんどです。GWやお盆など需要の高い時期は価格を上げ、逆に低い時期には価格を下げています。

宿泊業でのダイナミックプライシングは下記の用にまとめられます。

需要が高い→忙しい→人手が必要→みんなが旅行に行く時期なので人手が集まりにくい→給料を高くして採用→宿泊価格に上乗せ

言い換えれば「需要が高い=高い給料で雇える=生産性が高くなる」のです。給与を上げてその分を価格に上乗せしても、それでも売れるようなもの、それが需要が高いものです。少し前のタピオカや女性に人気の韓国系アイドル等、高い需要があります。

以下にして高い需要の商品やサービスを生み出すことができるのか、それが中小企業が今後生産性を高めるポイントではないかと思います。

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