成功報酬型のサービスを通して行動経済学を学ぶ
今回は、弊社が提供する成果報酬型のサービスから、行動経済学がWebマーケティングにも大きく関わりがあると学んだ話を紹介します。
プロスペクト理論で知る「できるだけ損を避けたい」人の行動
まず行動経済学には有名な、プロスペクト理論があります。トヴァスキー氏とカーネマン氏が発見した理論です。その中には、人は「確実に得をしたい」し「避けられるなら損を避けたい」という人間の行動心理があるそうです。
例えば、「1万円を絶対にもらえる」もしくは「50%の確率で2万円をもらえる」という選択をする時に、多くの人は1万円をもらう方を選ぶという行動を選ぶ傾向にあるそうです。50%の確率で1円ももらえないというリスクはなかなか取らないそうです。
逆に損の方で例えると、「絶対に1万円の損をする」と「50%の確率で2万円の損をする」だと、2万円の方を選ぶ人が多いそうです。50%の確率で損がない方を選び、確実な損を避けたい為です。これが現代の行動モデルと言われています。
ではなぜ今回この話を取り上げたかと言うと、実は成果報酬型の商品と関わりがあるなと思ったからです。昨年末頃より弊社では、成果報酬型のリスティング広告・SNS広告を始めました。広告を出す事に対しての費用ではなく、出した広告によって得た問い合わせ件数などで、1件につき○○円の報酬といった形の商品です。
この成果報酬型の広告をリリースし始めてから、問い合わせがBtoB・BtoCに関わらずドッと増えました。とはいえ、この成果報酬型は一般的な広告運用代行の価格の1.5~3倍の価格設定にしており、価格的にはかなり高めになっています。例えば、10万円の広告を出した場合、弊社の運用代行手数料は20%なので、普通に広告を出せば12万円の支払いになります。ですが成果報酬型の場合は、最低でも15万円、最大で30万円という価格にしています。実を言うと利益がかなり減る商品になっています。
しかしそれでもこの成果報酬型が選ばれる理由に、Webマーケティングと行動経済学の特徴が表れているなと感じます。
【見出し2】損を引き受けてもらう代わりに得は小さくなる
まずWebマーケティングの大きな特徴として、確実な効果が見込める訳ではない事があります。SEO対策やリスティング広告など、「絶対に上位表示される」「絶対に売上や問い合わせ件数が上がる」といった保証はありません。弊社でも失敗してきた事例はあります。そしてWebマーケティングにはもちろん費用がかかります。SEO対策やSNS運用に、一般的な業者なら数十万~数百万円かかります。つまり、成功するかどうか分からないものに数十万円のお金を払う(=損をする)可能性があるのです。
ここで先述の行動経済学にあった「避けられるなら損を避けたい」という心理が働きます。大企業ならともかく、中小企業では数十万円のお金をポンと出し、損してもいいと考える事は難しいでしょう。ならば、できるだけ損を避ける=お金を払わないで済む方法を取りたいと考えて、成功報酬型を選ぶという訳です。ただ、弊社では成功報酬型の広告は一般的な運用よりも費用がかかります。それでも、たとえ得が小さくなっても損を避けたいという心理が働き、「成果がないのにお金を払うというリスク(損)」を避けたい為に、成功報酬型を選ぶ人が多いのではないでしょうか。
もちろん成果報酬型にもリスクはあります。しかしそのリスクは「問い合わせがゼロでした。報酬は発生しません」といった形で弊社(企業)が引き受けています。つまり成果報酬型は、リスクを引き受けてもらう分、成果があった時の報酬が上がり、利幅が小さくなる。得を小さくしてでも損を回避する為の施策だと言えるのではないでしょうか。