デジタル広告の運用にはビジネス視点が必要な理由
デジタル広告を運用する時、売上や認知向上といった目的がある方がほとんどだと思います。またその中でもKPI(重要業績評価指標)をどこに置くかですが、コンバージョンとCPA(顧客獲得単価)をメインにしている方がほとんどだと思います。
しかし、実はこれではデジタル広告は活かしきれません。
顧客は色々な動きをする(バタフライサーキット)
コンバージョンの獲得やCPAを下げるという考え方は弊社でももちろん行います。ただ、コンバージョン1つをとっても、広告からの経路がすべてではありません。自然検索から来る人もいれば、数日後にコンバージョンする事もあります。Amazonでは、私は一度カートに入れた商品を3~4日後に購入する事もよくあります。
つまり、「最初のクリック」がコンバージョンにつながらなくても、そのクリックが売上につながっている事がよくあります。広告運用においては、「クリック後すぐに購入してくれる客」を探しますが、顧客の実際の動きはそのようにはなっていません。色んな方法でサイトに来ますし、すぐに購入する訳でもありません。Googleがいうバタフライサーキットですね。
参考:「さぐる」「かためる」を蝶のように行き来するバタフライ・サーキットとはなにか:バタフライ・サーキットと 8 つの動機
ですので今後は広告からの流入だけを考えていると失敗すると私は考えています。
必要なのはコンバージョン数の最大化ではなく「利益を上げる事」
私が携わっているとあるECサイト運営会社の話を例にとります。このお客様はモールと自社ECサイトの2つが主な販売で、その他には電話通販・手紙DM・カタログ販売など、幅広く行っています。また、BtoB向けの商品も取り扱っています。このように「複数の売上を上げる手段」を持っている会社がほとんどです。
広告運用はこれら事業の中の一部でしかありません。そしてその広告運用を行う私達に求められるものは広告からの商品購入です。ですが、結局のところ企業が一番重視しているのは「広告からの直接購入」ではなく、「売上が上がりコストが下がり利益が残る事」です。となると私達がやるべき事ははたして、コンバージョン数の最大化なのでしょうか?もちろん広告からのコンバージョンも大事ですが、実際は自然検索からの購入もあれば、リピート購入もあります。さらに定期購入や認知拡大が必要等、ニーズは様々です。
つまり、広告からのコンバージョン数の最大化が、必ずしも利益の最大化に繋がらない、ということです。
例えばコンバージョン数があまり高くないとしても、SNSに来てもらう・イイネをもらう・フォローしてもらう等の副次的な効果は必ず生まれます。そしてその副次的な効果も含めて、利益が上がっているのかを見る必要があります。
ビジネス視点は人間にしかできない
広告そのものや副次的な効果をすべて含めて見るには、ビジネス視点が大事になってきます。ただ、その視点を広告運用の担当者が急に持つ事は難しいでしょう。
ですがデジタル広告の運用代行をするのであれば
- このビジネスの本質は何なのか
- 今までどうやって顧客獲得をしていたのか
等を知るという下準備はとても大事になってきます。広告運用はビジネスの成功の一部を担っています。Googleアナリティクスだけでは見えてこない部分も含めて、ビジネスが上手くいくかどうかを必ず見なければいけません。
今後デジタル広告は自動化が進んでいきます。しかし、「人間にしかできない部分」はあります。この人間にしかできない部分を行うかどうか、それによってデジタル広告運用の成果に関わって来ると思います。