なぜPOP MARTは自らラブブのブームを終わらせたのか
2025年に世界的なブームとなった「ラブブ」。キャラクター人形やぬいぐるみが人気を集め、日本でも数万円で転売されることがありました。ところがその後、価格はどんどん下がり、メディアでは「バブル崩壊」と報じられています。
普通に考えれば、飽きられて人気がなくなったという話に聞こえます。しかし実際には、価格を下げていったのはメーカーであるPOP MART自身だという分析がありました。
(参考:ポップマートはなぜ自らの手でブームを終わらせるのか。商品のロングテール化戦略|中華IT最新事情)
今回はこの事例から、中小企業・零細企業が何を学べるのかを考えてみます。
バブルを縮めたのは、実はメーカー自身だった
ラブブの価格が下がっていった背景にあるのは、POP MARTによる大量増産だと言う分析があります。品薄だからこそ商品が貴重になり、欲しい人が殺到し、転売価格が跳ね上がります。逆に生産を増やせば品薄は解消され、手に入りやすくなり、ブームは落ち着いていきます。
品薄を維持していれば高値は続き、目先の利益は最大化できたはずです。それでもラブブのメーカーが増産に踏み切ったのはなぜでしょうか。
理由①:偽造品・模倣品を市場から排除するため
ひとつ目の理由は、中国市場ならではの事情です。中国では偽造品や模倣品が非常に多く、品薄で価格が高騰すると、似たような商品を作って売る動きが必ず出てきます。ブランド品のスーパーコピーと同じ構造です。
そこで、できるだけ多くの本物・正規品を市場に流通させることで、模倣品が入り込む余地をなくそうとしたわけです。
理由②:定番キャラクターとして長く売りたかったから
そしてもうひとつ、こちらがより重要なポイントです。一過性のブームでラブブを終わらせるのではなく、ロングテールで長く売り続けたいという意図があったと言われています。
キティちゃんやマイメロディ、ミッキーマウス等…世の中には長年愛され続ける「定番キャラクター」が存在します。ラブブもそうした立ち位置を目指した、ということです。
つまり短期の利益ではなく、長期の商品寿命を取りにいったわけです。
長く続かなかった例:タピオカとマリトッツォ
逆に、ブームのまま終わってしまった例も見てみましょう。
タピオカミルクティーは、参入障壁が非常に低かったため、一気にあちこちで店舗が出店されました。「ここでしか飲めない」という希少性が失われ、どこでも手に入るようになると、人々は見向きしなくなりました。結果として大量閉店が起こり、今では本当に実力のある店や老舗だけが残っている状況です。
マリトッツォも同様です。一気に燃え上がり、みんなが消費し尽くすと市場から消えていきました。今ではケーキ屋でも一部でしか置いていません。シュークリームやショートケーキのような定番として残す道もあったはずですが、そうはなりませんでした。
ブームは勝手に終わる。だから「終わり方」の主導権を握る
ブームというのは、消費者側が「いいな」と思えば一気に燃え上がり、「もういらない」と思えば一気に去っていくものです。基本的には勝手に起こり、勝手に終わります。
だからこそ、ブームが起きたときに終わり方の主導権を自社で握っておくという発想が必要になります。POP MARTは、まさにそれを実行した事例だと言えます。
バブルで稼ぐか、定番として残るか
以前このチャンネルで、転売についてお話ししたことがあります。転売ヤーにでも売って量をさばく、あるいは利益が最大化する価格まで上げる。経済学的にはこれが正解で、最大利益を得られます。しかし経営者は、その瞬間の最大利益ではなく、長い目で見た利益を考えて判断している、という話でした。
とはいえ、経営者の中でも考え方は分かれます。ブームのときに最大利益を取り切って、すぐ別の事業に切り替えるやり方もあります。タピオカが下火になった途端に業態転換する、というような形です。それはそれで一つの経営判断であり、ブームの上積みだけを取っていく戦略も立派な選択肢です(実行するのは大変ですが)。
一方で任天堂のように、長くお客様と付き合うことを大事にする企業もあります。今回のラブブも、そちらに舵を切ったということでしょう。
中小企業はどう考えるべきか
中小企業・零細企業がこの事例から学べることは何でしょうか。
まず、バズやブームは入り口でしかないということです。大事なのはその後どう定番化するか。ラブブもバーッと売れた後で、定番化する道を選びました。
また、希少性で煽るやり方をすると、転売ヤーや模倣品を呼び込むことになります。その場での利益を最大化するのではなく、数年かけて利益を大きくしていくという考え方を持たない限り、ブームのまま終わってしまいます。
まとめ
- ラブブの価格急落は、メーカーであるPOP MART自身が招いたものだと言われている
- 理由は「偽造品・模倣品の排除」と「定番キャラクターとしての長期展開」
- タピオカやマリトッツォは、終わり方を設計していなかったために消えていった
- ブームは勝手に終わる。だからこそ終わり方の主導権を自社で握る発想が必要
- バズは入り口。その後どう定番化するかを設計できているかが分かれ目
そもそも流行らせること自体がすごいことで、一発屋ですら難しいと言われる世界です。ただ、一発当てるにせよコツコツやるにせよ、息長く続けていくことが大事なのは、ビジネスでも人生でも同じではないでしょうか。10年、20年でどれだけの利益を出せるか。
この長期目線で経営していくことが、今後はより重要になってくるように思います。
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投稿者プロフィール

- 代表取締役
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兵庫県伊丹市出身
2006年、立命館大学経営学部卒業後、パソコンソフトの卸売会社、総合商社子会社に就職し、2008年に独立。
2011年頃からSEO対策・アフィリエイト用の文章制作から、独学でリスティング広告やアクセス解析、SNS広告などを学び、サービスを展開。
短期大学の情報処理講師や職業訓練校のWebサイト制作クラス・ECマーケティングクラスなどで講師を担当。
現在は株式会社キヨスル代表取締役として、Webマーケティングをデザインすることでクライアントのビジネスに貢献する。
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